ピーター・ランデズマン監督

 1974年のウォーターゲート事件を題材にした映画『ザ・シークレットマン』。主役リーアム・ニーソンが演じるのは、実在のFBI副長官マーク・フェルト。彼こそが、30年以上に渡り正体が謎とされた内部告発者、通称「ディープ・スロート」だった。なぜ彼は極秘情報をマスコミにリークしたのか? 映画はFBIとニクソン大統領の攻防を描いてゆく。

「実際にマークはジャーナリストと、ダイナーで定期的に会っています。まるで古くからの友人のように」

 映画の中でふたりは向き合って、打ち解けた様子でパイをつつくのだ。実は、ランデズマン監督は、元報道記者という異色の経歴を持つ。

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「私もジャーナリスト時代、調査報道のために人身売買に携わる人や武器の密輸をする人物に取材しました。取材対象者の身になって話を聞くと、ある種の信頼関係が芽生えます。あたかもストックホルム症候群みたいに」

 ストックホルム症候群とは、犯罪者と被害者が同じ緊張状態を長く共にすることでできる同調関係を言う。

「生前のマークにも、その部下にも取材して映画にしました。彼の行動は愛と信念に基づいていると思っています」

INFORMATION

映画『ザ・シークレットマン』
2月24日から公開
http://secretman-movie.com/