現在、全国6つの地域に設けられている「研修会」。

 将棋のプロを夢見て、あるいは仲間たちと腕を磨こうと少年少女たちが切磋琢磨している。

 奨励会と違ってあまり話題にならない研修会のリアルな姿について、各地で幹事を務める阿部健治郎七段(東北)、石田直裕五段(北海道)、長谷部浩平五段(関東)の3名に話を聞いた。(全2回の2回目/前編を読む)

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左から順に阿部健治郎七段、石田直裕五段、長谷部浩平五段

皆さんが普及活動にも力を尽くされているので…

――そもそも、皆さんが研修会幹事になったきっかけとは?

石田 北海道研修会の幹事は地元ゆかりの人間がなったほうがいいということで、特に指名などはなく、ごく自然にです。今の幹事は皆、首都圏在住ですが、北海道に帰っての指導はよく行っており、北海道に研修会を作りたいという話もしていました。

阿部 東北も同様ですね。研修会の場所が仙台なので、私以外の幹事はみな宮城県にゆかりがありますが、天童市がある山形出身の棋士として、私も。

長谷部 私の場合は入れ替わる形で退任した長岡先生(裕也六段)から話をいただいたのがきっかけです。もともと、他の棋士の皆さんが普及活動にも力を尽くされているのを見ていたので、微力ながら力になれればと考えました。

――奨励会入りには棋士の誰かに師匠になってもらうのが必須ですが、研修会員から入門を求められることはありますか。

石田 北海道研修会からは3人が奨励会に入りました。みな幹事のもとに入門したいということで、それぞれ違いますが、3名の幹事が師匠になっています。もちろん弟子の希望もありますが、持ち回りで幹事が引き受ける形ですね。

師匠が研修会幹事をしていたときに入門

――「この先生に入門したいのですが、紹介いただけませんか」という依頼はありますか。

石田 今のところはありませんが、幹事以外の棋士にも紹介はできると伝えています。

阿部 東北でも入門を頼まれる方はいて、幹事に弟子入りという形になりますね。私は幹事の中では年が下だからまだですが。師匠を頼みやすいというのも研修会に入る大きなメリットだと思います。

長谷部 私も、師匠が研修会の幹事をしていたときに入門をお願いしました。

長谷部浩平五段

――長谷部さんが大平(武洋六段)門下となったのは、升田幸三実力制第四代名人に憧れて、それに連なる系譜だからということは知られていますが、同様の理由で長谷部門下を志望される方も出てくるのではないでしょうか。

長谷部 そうですね。弟子を取るということについては、お二人にお話をお聞きしたかったので、よかったです。

阿部 ただ、研修会で幹事を頼ってくれるのはありがたいですが、みんなが頼ってくると師匠が面倒を見切れなくなります。

石田 それもあってか、うちの一門(所司和晴七段門下)でも、最近は兄弟子の宮田さん(敦史七段)、弟弟子の石井君(健太郎六段)が弟子を取っています。