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「2年で奨励会入りとは、天才ですね」

――奨励会員と異なって、研修会員はアマチュア大会に参加できますが、会員同士の情報交換などは大きいのでしょうか。

阿部 それはハッキリありますね。私の小中学生時代、各地区の代表を決める大会は小学生名人戦と中学選抜くらいでしたから何とか情報を得ることができましたが、倉敷王将やJT、JCOM、イオンモール杯、文部科学大臣杯など、これだけ全国大会が増えると、情報交換をしないと危ないでしょう。

長谷部 私の時代は倉敷やJTがもうあった頃ですが、すでに研修会がある地域では会員が各地区の代表になっていたイメージです。

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石田 私は1個も大会に出たことがありません。将棋を習い始めたのが小5で、奨励会に入ったのが中1ですから。

阿部 2年で奨励会入りとは、天才ですね。

石田 いやいや、あなたに7級に落とされましたから(笑)。今は北海道の大会はできるだけ見るようにしています。

阿部 東北研修会ができたのは2021年で、最初のうちはまだ力がありませんでしたが、1年経つと明らかに大会の代表者が研修会員ばかりになりました。

うれしかったのは会員の成長する姿、ビックリしたのは…

――研修会幹事を務めていて、うれしかったエピソードなどはありますか。

石田 やはり、北海道の大会で上位、ベスト8辺りにいくつも会員の名前があると嬉しくなりますね。全国大会で入賞して奨励会に入った子もいます。

阿部 年齢を経ることで成長する姿を見るのは嬉しいですね。逆に悲しいところも挙げますが、東北は人数が少ないので同じ人と当たることが続きます。勝負事で相性もあるので、その相手に負かされ続けて、小学生低学年で自信を失ってしまう子もいます。それが残念ですね。ですから会員数を増やさなくてはいけません。

長谷部 幹事になってまだ1ヵ月ちょっとですが、研修会から奨励会に編入した子がいるのはうれしいですね。弟子ではありませんが、奨励会での成績をチェックするようになりました。

 

――では、ビックリしたことなどはありますか。

阿部 東北ではなく、関東で指導をしたときに面白いと思ったことがあります。ある会員が対局中に挙手をするんですよ。理由を聞くと「トイレに行きたくて」と。プロだけでなく、アマ棋戦でも対局中にトイレへ行くのは自由なはずなのに、それを確認するのは小学生らしいというか、面白いなと。学校で授業中にトイレに行くときは挙手をして先生の許可を得ますが、その感覚かもしれません。

長谷部 これは笑える話ではないんですが、自分の研修会時代との違いはSNSの有無です。腕があってやんちゃな研修会員が道場荒らしに行って、その様子をネットに書かれてしまうんですね。道場荒らしと言っても、対戦相手を煽るくらいで、昔ならその場で怒られて終わりだった話ですが、SNSが発達した現在では、デジタルタトゥーとして半永久的に残ってしまう可能性があるので……。