地方在住でも自分に見合った「棋書」とは出会える?
――学ぶ、という視点では皆さんは棋書を読んで強くなった世代ではないかと思います。やはり地方だと棋書を購入できる機会なども都会と比較して、限られますか。
石田 今だとアマゾンなどがありますからね。私の時代は地元の書店になかったので、旭川まで出向いて買っていました。地元の書店で注文とかできたんですかね?
阿部 できたとは思いますけど、子どものうちはそういうシステムがあることは大人から教わらないとわかりませんよね。私は本を読まず、兄と父が将棋をやっているのを見ていたら覚えました。
――阿部さんは山形の伝説的強豪である土岐田勝弘さんからも手ほどきを受けたということですが、土岐田さんのもとで棋書を読む機会などはありませんでしたか?
阿部 土岐田さんには小学1年の頃から教わりましたが、漢字が難しくて低学年のうちにはまだ読めないんですよ。結果として定跡を知らないから大会に出ても負けてばかりです。高学年になって漢字を読めるようになってから勝てるようになりました。
長谷部 私はルールを父から教わりました。初めて読んだ棋書は地元の図書館にあったものですが、羽生先生の自戦棋譜が延々と載っているもので、何個登るべき階段を飛ばした本を読んでいたかわかりません(笑)。当時の棋力にあった本に出合うのが難しかったです。
――図書館の規模によっては大人向けのコーナーと、児童書のコーナー、それぞれに棋書が分かれて置かれているところもありますが、そういった面でも都会と地方の格差はあるかもしれません。
石田 私の地元の図書館は、棋書こそあれ、子ども向けの本はなかったですね。丸田祐三勝局集というものすごい分厚い本があったことを覚えています。
阿部 特に地方の図書館だと、より高齢の方が対象となりやすくなるのか、子ども向けの書籍は多くないイメージです。