文春オンライン

現役医師が明かす「手術を失敗しても大丈夫だな」と思われるかもしれない患者の“ある行動”

『わたしの100歳地図』より #1

2023/06/30

genre : ライフ, 社会

note

 前頭葉は、思考や感情、行動をつかさどる脳の部位で、脳の老化が最初に始まる部位でもあります。使わずにいるとどんどん萎縮していき、認知機能や運動機能の低下、それ以上に意欲の低下という悪影響を及ぼすのです。いま、もっているお金を何に使おうかと考えるだけで前頭葉が働くのですから、老化予防のためにはこれまでにやっていないことをやってみて、さらに前頭葉を活性化させることが大切です。

どんな小さなことでも実験だと思って試すべき

 日本人は幼少期から「失敗してはいけない」ということばかり言われ、刷り込まれてきたので、失敗を恐れて実験をしないまま日々を過ごしている人がたくさんいます。

 失敗しても、それをもとに組み直すことができるのが実験です。年をとって以前より時間があるなら、どんな小さなことでも毎日が実験だと思ってみて、ぜひ試してみるべきです。家族や医師から言われたとおりのことをやっているのは、実験ではありませんよね。

ADVERTISEMENT

 たとえば、気になるラーメン店に行列ができていて、「せっかく並ぶのに自分の好みでなかったらイヤだな」などとは考えずに、まずは並んで食べてみる、それが実験です。残念ながらおいしくなかったとしても、この実験は失敗だったが、その失敗は次へ生かすことができますよね。その店はまずいということを学習できるし、若い人ばかり並んでいる店は高齢者には脂っこすぎると学習できるかもしれません。おおげさに聞こえるかもしれませんが、まずはこういった身近にできることから始めてみることを忘れてはならないということを肝に銘じて毎日を過ごすと、人生変わってくるものです。

老後も退屈せず、楽しく過ごすために

「毎日が実験だ」と思ったら、なんだかワクワクして楽しくなってきませんか。スーパーで、聞いたことや見たことのない食材が売っているから、きょうはこれを使って料理をしよう。行きつけではない店に思い切って入ってみよう。聞いたことのない作者だが本屋で売れていそうだから読んでみようなど……。

 このようにちょっとした実験を続けていれば、老後も退屈せず、楽しく過ごすことができるはずです。失敗することも、もちろんあるとは思いますが、全部失敗することって実はあまりないはずです。たとえ少ない回数だったとしても、失敗を恐れずに、すごく楽しかった、すごくおいしかったという経験をすることのほうが大切です。

わたしの100歳地図

わたしの100歳地図

和田秀樹

主婦の友社

2023年6月1日 発売

現役医師が明かす「手術を失敗しても大丈夫だな」と思われるかもしれない患者の“ある行動”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー