ドワンゴ主催「ニコニコ超会議2023」(4月29・30日)にて行われたトップ棋士、佐藤天彦九段と糸谷哲郎八段による異例の百番勝負。文字通りの“死闘”の一部始終を観戦した記者が、「超将棋100局勝負」2日目の模様をレポートする。

2日目開始前の佐藤天彦九段(左)と糸谷哲郎八段(右)

【第6ブロック:第56~第65局】(利き手側:佐藤)

 一晩休んで「疲れは取れた」という佐藤に対し、糸谷は「右腕がまだ痛いです。肩はとっくの昔に滅びています。(勝ち越しを決めるまで)あと18勝……」と回復できていない様子だった。

1日目終了後、招待された「湯楽の里」でリラックスする糸谷
2日目のスケジュール予定

 2日目は最初から駒がマス目に収まらず、手つきが乱れに乱れた。両者の気合いと疲れでなりふり構ってはいられないのはもちろんのこと、盤上がぐちゃぐちゃでもお互いがわかっていればいいと信頼している雰囲気が感じられた。

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 第6ブロックは佐藤が振り飛車を多用し、第65局を終えて7勝差まで詰める。そして、恒例の揉みほぐしサービスが行われた。対局者の疲労はどれほどか、担当したスタッフに話を聞いた。

「時間がたつにつれて、疲れがたまっているのを感じます。普段はベットに横になってもらって最低20分はやりますが、今回は椅子に座ったまま5~10分ほどです。

 

 腕が張ると、肩の肩甲骨に負担がかかっていきます。実感はないと思いますが、腕は結構重くて、片腕でもキャベツ1個分の重さがあるといわれています。腕を上げると、肩がそれを支えるので、凝ってしまうというわけです。昨日、対局者の手のひらを触ってみたところ、親指の付け根にある母指球がパンパンでした。背中は触れていないですけど、凝っていると思いますね。同じ姿勢で長時間は体にあまりよくありません。ストレスで頭の筋肉は硬くなり、目が疲れていきます。

 

 今日の糸谷八段は開口一番『腕をやってほしい』とおっしゃっていました。(糸谷の肩はどれほど凝っているのかの問いに)普段いらっしゃるお客さんの中でも、かなり上位だと思います。佐藤九段はそうでもないですが、やはり昨日は時間がたつにつれて、腕が張っていきました」

 

総合→佐藤29勝、糸谷36勝
第6ブロックの勝敗→佐藤7勝、糸谷3勝
切れ勝ち→佐藤2勝、糸谷3勝