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 流行おくれの感はあるが鮮やかな色の着物や帯が目を引き、カラー写真の威力を見せつけられる。

写真4-2 銀座1丁目の路上で道行く女性を撮影した連続写真(1949-52年、撮影者不明)
写真4-5 銀座1丁目の路上で赤ん坊をおぶった女性。カメラに気付いてこちらを見ている

 写真4-2や写真4-5は、1949年から52年に銀座1丁目で撮影されたものであるが、なぜか同じ所に立ち止まって道行く女性ばかりを撮っている。比較的地味な色と柄ではあるものの、ほとんどが着物を着ており、撮影者の望む被写体がやってくるのを待ってシャッターを切ったのだろう。

 特に子供が子供を背負って子守りをしている姿はアメリカ人にとって珍しくまた愛らしかったらしく、こちらも好まれる被写体であった。

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弱い者たち――子供、老人、物乞い

 そもそも子供は警戒心が薄く、大人を拒絶しにくいなど写真を撮りやすい対象である。

写真4-10 子守りをしながら茣蓙の上で勉強する女の子(現在の埼玉県和光市付近か。1945-49年、撮影者不明)

 この撮影者は土の上に茣蓙(ござ)を敷いて座る子供に背負われた赤ん坊の目の高さ近くまでわざわざ腰を落としてカメラを構えているが、子供は撮影者をほとんど意識していないように見える。

写真4-11 クローズアップで撮影された、赤ん坊をおぶう女の子(1945-49年、撮影場所・撮影者不明)

 同じ撮影者による写真4-11ではさらに子供に近づいて赤ん坊と子守りの女の子の両方をアップで撮っている。ここまで日本人に近寄って撮影した写真は筆者のコレクション内では数枚しか見られず、やや特異な位置を占めている。

 この撮影者のコレクションにも撮影者自身や家族・同僚のようなアメリカ人の近しい者が写っているスライドはほとんど含まれていない。したがって、彼らを写す際にも同じ距離で撮影していたのかは不明である。被写体となる人物にどれだけ近づいてカメラを向けられるかは、撮影機材の選択にもよるだろうが、撮り手の性格やコミュニケーション能力に負うところが大きいだろう。