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 嫌悪感を抱くようになってからも、恵美奈は「ファンが減られたら困るから」と推しに一応の理解を示す。だが、その嫌悪感は、次第に憎悪へと変わったのだと、恵美奈は話した。

 公園に女性がひとりで立っているところに声をかけてくるのは買春客以外にいないと思っていた。だが、売春の交渉ではなく「可愛いね。何してんの? こんど遊ぼうよ」とナンパのように話しかけられ、内心、見ればわかるでしょと思いつつ、イケメンだったからホストに聞かれるままLINEのID交換に応じた。

「で、そのホストから『会おうよ』とDMが来て、みたいな」

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 実はそのころ、恵美奈は推しに貢ぐ意味を見出せなくなっていた。現段階で私よりお金使ってないのに、「私がいちばん好き」みたいな感じのことをずっと言ってるあの子。それがキモかったばかりか、推しメンもファンが減られては困るからと言いたげな表情をして優しくする。私がいちばんお金使っている。誰が見てもいちばん頑張っている。なのに、それ相応の見返りがないのは違うんじゃないかと思っていた。

 そんなときに現れた、ホストの男。これが世にいう色恋営業――僕からすれば地獄の始まりだった。恵美奈はいま、大阪から出てきてそれっきり、約3ヶ月も“現在地”からも担当がいるホストクラブからも近いビジネスホテル『リブマックス』に泊まりながら街娼で稼ぐ日々を続けている。

写真はイメージ ©getty

「営業なんじゃないですか?」

――そのホストはさぁ、ちゃんとカネを使ったぶんだけ応えてくれるんだ。

「うん。ご飯食べに行ったりとか、ビジホにも会いに来てくれる。ビジホには、朝来てくれることもあるし、夜、営業終わりのこともある。向こうが仕事終わるのが深夜1時だから、私も同じくらいに立ちんぼをやめて、ふたりで一緒にビジホに帰ることも。で、一緒に寝て。店には月2回しか行かないけど、なんだかんだで毎日会ってる感じかな。今日も夕方5時とかまで一緒にいた」

――カラダの関係はあるの?

「まあ、ある。セックスはほぼ毎日。最初は、私が店に行く前に。外で会って、ご飯食べた、その日に」

――じゃあ、向こうは恵美奈のことが本当に好きなんだね。

「いや、わかんない。営業なんじゃないですか? 本当のところはわかんないけど、まあ、別に好きでも営業でもどっちでもいい」

――たとえば地元の友達と付き合うんじゃダメなの?