駅で茶髪やヤンキーっぽい子を見かけたら駆け寄って…
中でも忘れられない企画があった。
1992年5月号の「スケ連豊川支部幹部会密着」の取材だ。カラオケボックスを貸し切った幹部会は日頃の「スケ連」の活動やメンバーの素の部分が見られるので、かなり興味深い記事が期待できた。幹部会は「立ち番」と呼ばれる「スケ連」の日常のメイン活動を各自が報告するというのが通例だった。
「立ち番」とは豊川駅をメンバー何人かで見回りすることだ。「スケ連」以外で髪を茶髪にしていたり、ヤンキーっぽい子を駅で見かけたら、メンバーが即座にその子に駆け寄り「スケ連に入るか、入らないならその茶髪を黒に変えて、真面目になれ」と忠告、警告をするのだ。この立ち番はスケ連のすべての支部で行われているが、実はスケ連だけでなく、幾つかの別の地域でもレディースの活動の一環として行われている。
まともな忠告なのか恐喝なのかは微妙なところだが、これはある意味「スケ連」が生活指導の教師のような役割であり、受け取り方によれば“正しいこと”をしていると捉えることもできるとも思った。
遅刻と連絡なしの欠席は厳しく注意
「ガタガタ言ってきたら喧嘩しな。ただしこっちから手を出したらダメだからね」
豊川支部の総長がメンバーに「スケ連」らしい檄を飛ばす。立ち番の話はもちろん面白いが、この場で印象に残ったのが、入りたての新人たちも参加していたことだ。先輩の前で緊張しているのがありありで、先輩たちがタバコを手にするとコンマ何秒の速さでライターを差し出す。かつては大学の応援団やヤクザ事務所でもよく見られた光景だ。
おそらく「スケ連」に入った新人が一番最初に覚えさせられる掟のひとつだろう。この瞬時にタバコに火をつける様子も印象的だったが、何より忘れられなかったのは、集会に遅刻した新人の1人が厳しく注意されていたことだ。
「何でいつも集会に遅れて来るんだ、遅刻と連絡なしの欠席は絶対ダメだからな」
総長が一喝する。確かに遅刻は実社会でも時には致命的なミスにつながる。そのため新人の少女にとってはたとえ「スケ連」とはいえ、これは人として正しいことを注意されている。