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「なぜこの作家がつまらなくなったか」という長文のレポートを持参したら即スカウト…30年、官能小説を作り続ける“フランス書院編集長(51)”の超ユニーク人生

ナゾの出版社「フランス書院」インタビュー #2

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玉川 いえいえ、読む専門です。……でも10代の頃、愛読している官能小説の内容をヒロインの名前だけ好きな子に置き換えてワープロに打ち込み、自分だけの官能小説を作ったことはあります(笑)。

フランス書院は異動がない

――官能小説をひたすら作り続けて約30年の編集者は、国内で玉川さん以外にいない気がします。

玉川 電子書籍や漫画なども手がけていますが、官能小説を中心にエロス一筋というのは確かに珍しいのかもしれません。他社の編集者さんと交流する中で、ちょっと変わっているという自覚が生まれてきました(笑)。ほかの出版社は文芸やコミックなど編集部間で異動がありますが、うちは異動がないんですよ。

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――今まで何冊くらいの官能小説を担当してきたんでしょうか?

玉川 特に数えたことはありませんが、編集長になった今も月4冊、年間50冊くらいは手がけています。

――一般文芸などの編集者であれば3か月で1冊でも多いのに、月に4冊とは……! そのペースだと、これまで担当した官能小説は1000冊を超えているのでは?

玉川 超えているでしょうね。

編集者として手掛けた官能小説は“1000冊超え” ©杉山秀樹/文藝春秋

――手がける本が月4冊あるということは、作家さん側もかなりのハイペースで執筆されているんでしょうね。

玉川 3、4か月に1冊というペースが一般的でしょうか。すごく速い方だと、2週間で1冊書いちゃったりします。しかもその方は会社勤めもしている兼業作家なのだから驚きです。

――フランス書院には何人くらいの社員がいるのでしょうか?

玉川 男性向けの官能小説のほかに、BLなど女性向けの書籍を出している編集部もあり、フランス書院という会社全体としては15、16人でしょうか。先ほど申した通り、社内で異動がないので、「入社してからBL一筋」とか僕と似たタイプの編集者ばかりですね。

――官能小説を読んだことがないのに官能小説の担当になった編集者もいるのでしょうか?

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