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仕事ではいつも「スーツ」を着る理由

――なるほど。あと失礼な感想かもしれませんが、玉川さんはスーツをピシッと着こなして、官能小説の編集者とは一見信じられない雰囲気です。一般文芸などの編集者よりもカチッとした佇まいで……。

「仕事のときは、いつもスーツを着ています」 ©杉山秀樹/文藝春秋

玉川 仕事のときは、いつもスーツを着ています。新卒時代に先輩たちがみんなスーツだったので、そういうものかと自分もスーツを着るようになりました。あと、官能小説の読者さんは真面目な方が多い印象です。

 実際、凌辱系の作家さんを囲むオフ会を開催したとき、集まったファンの方の職業を聞いてみたら、銀行員や教師などお硬い職業の方が大半でした。僕も真面目なほうの人間ではあるので、読者の方々の感性とちょうど合っているのかもしれません。実は、あえてサラリーマン的な生活を送るようにしている部分もあるんですよ。

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たぎる官能小説愛は漫画でも発揮(画像:『令和に官能小説作ってます フランス書院編集部物語』より)

――それはなぜでしょうか?

玉川 実のところ、作家さんでも兼業のときはおもしろい作品を書いていたのに、専業になったとたんに作風がズレていく方がいます。もしも自分がフリーランスの編集者だったら、多くの読者と全く異なる生活スタイルだったことでしょう。

 でも僕は満員電車に毎朝乗って、午前8時半に出社しています。そして定時まで働いて、たまに職場の飲み会にも出て上司にお酌している。だから作家さんと意見が分かれたときに「僕は毎日こんな生活です。専業作家の先生よりも、僕の目線のほうが読者に近いはずです」と説得すると、相手もなかなか反論できません(笑)。

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