Q 日本のパスポートは「最強」だった?

 国際航空運送協会(IATA)のデータを基に、英コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズが毎年「パスポート指数」というものをランキングにしていることを知りました。これは、ビザなしで渡航できる外国の数を比較したもので、直近5年連続で日本が首位だったものの、今年は192カ国のシンガポールに抜かれてしまったとのこと。ドイツ、イタリア、スペインが190カ国で2位。日本は189カ国で、韓国やフランスなどとともに3位だったそうです。アメリカは上位の常連だったものの、年々ランキングを下げており、今年は8位になったとのことでした。

 そもそも、この「ビザなしで渡航できるかどうか」というのはどういう理由で決まるのでしょうか? なぜシンガポールや日本のパスポート指数が上位で、アメリカは年々下がっているのでしょうか。(30代・男性・会社員)

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A ビザは、自国に害を与えないかどうかを審査するものです

 ビザは、他国の人間が自国に入って来る際、自国に害を与えないかどうかを事前に審査するものです。たとえば留学ビザは、申請した学生が、本当に大学で勉強をするのか、それとも留学は名ばかりで金を稼ぎに来ようとしているのかを確認します。

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 観光ビザは、申請者が本当に観光に来て、また自国に帰るかどうかをチェックします。開発途上国の場合、「観光旅行です」とウソを言って訪問し、そのまま行方不明になってしまうことがあるからです。

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 その点、日本人は正直に申告し、観光が終われば不法滞在しないで帰国する人たちが、信頼を勝ち取ってきました。だから、多くの国が日本のパスポート保持者についてはビザなしで観光に来ることを認めているのです。

 一方、アメリカの場合、トランプ前大統領が、イスラム圏からの旅行者に対するビザの審査を厳密化したり、そもそも入国を認めなかったりしました。ビザは相互主義が原則ですから、アメリカが「ビザが必要だ」と言い渡した国は、対抗して「アメリカ人も事前にビザを取得しなければ入国を認めない」という報復に出ました。この結果、アメリカの順位は落ちているのです。