月9ドラマとはほぼ無縁の私だが、『真夏のシンデレラ』は楽しく観ている。
主演は森七菜と間宮祥太朗。森七菜のファンではない。でも三年前の『この恋あたためますか』の彼女は強く印象に残っている。
メジャーデビュー寸前のアイドル・グループを解雇された、コンビニのバイト店員を森は演じた。失意の生活での楽しみは、好きなコンビニ・スイーツのレビューをSNSにアップすることだけだ。
その批評のユニークさ、鋭さに注目したコンビニ・チェーンの社長(中村倫也)が、彼女を探しあて、スイーツ開発室のスタッフに抜擢。ここから彼女の仕事と恋が進展していく。
超人気の『恋あた』だったが、事務所の移籍騒動の影響か、その後テレビ等の露出が激減した。森七菜、どうしてるんだろう。そう思って初回を観ると、海岸を大きなサーフボードを何台も積んだ車を引く小柄な女の子が近づいてくる。
タンクトップにショートパンツ。日に焼けた身体が健康的な夏海(森七菜)はサップの先生だ。スタンドアップパドルボードの頭文字をとりSUP。サーフボードの上に立ち、一本のパドルで漕いで海を進む。初めて知ったよ。
この日の客はサップ初体験の「俺たち全員トーダイ卒」とか言ってるチャライ三人組だ。中で一人、健人(間宮祥太朗)だけが、落ち着きもあり、賢そう。
夏海の女友達、愛梨(吉川愛)がマッチング・アプリで会うことになるのが、お約束通り、この三人組。偶然が何度も続くが、これを安直と叩くのは簡単だ。
夏海はサップの講師をしながら、海の近くの壊れそうな食堂で休まず働いている。父親は料理も出来ない、客あしらいも下手。弟はレジの計算も駄目。母親が小さいとき出ていってから、夏海が家事と食堂すべてを担ってきた。
「働きものだね」と健人君が感心する。「人にやってもらうの待つより、自分でやっちゃう」。
東大を出て、父の経営する建設会社をやがて継ぐ健人は、大きな仕事のプレゼンを控えて、気分転換で海辺の別荘に来ていた。
夏海の働きを見て「大変だね」と言うと、「嫌なわけじゃないんだ」と夏海。「あたしの目標は、半径三m以内の幸せだから。判りやすいっしょ」。
健気なんだよ。彼女の演じる少女たちは、辛いことがあっても、笑顔を絶やさない。どころか元気がない奴をみると、「ホラ、何してんの!」と肩を叩く。
いま、こんなひたむきでピュアな子っていないよ。シンデレラの靴はガラスだけど、夏海が履くのはビーチサンダル。大好きな鯨の尻尾がついたビーサンを健人から贈られた夏海が、幸福になるといいな。柄にもなく思ってしまう。
INFORMATION
『真夏のシンデレラ』
フジテレビ 月 21時~
https://www.fujitv.co.jp/natsu_cin/