色使いもメリハリをつけて
──さいとう先生に教わったことは?
白川 カラー原稿では色を塗り終わると、先生に見せるんですが、「ここはもっとメリハリがあった方がいい」とご自分で塗り直すんですが、「こんな色を使うのか」と驚くことが多かったですね。中間色はあまり使わず、ハッキリした色を使うんです。昔の日本映画のポスターのような、力強い感じですね。
──さいとう劇画の魅力とは?
白川 リアルさが大事ですね。鬼平だったら着物や建物など、できるだけ史実に沿うようにしています。それはゴルゴも同様ですね。目と眉の「目力」がさいとう劇画のトレードマークですから、目力と背景のリアルさとのギャップを大切にしています。
──最後に、読者へのメッセージをお願いします。
白川 さいとう先生の世界観は読者のものなので、できるだけ継承していきたいですね。今でもスタッフのデスクには、さいとう先生の顔写真が飾ってあるんです。私自身、「先生だったらどんな色で塗るかな」と考えながら、日々仕事をしています。
とにかく優しい先生で、作画の注意をされたくらいで、怒鳴られたことは一度もありませんでした。仕事以外では結構お茶目で、忘年会でスタッフがゴルゴのお面をかぶっていたら、ご自分でそれをかぶってポーズを決めたりしていました(笑)。一緒に仕事をしたのは3年ほどでしたが、もう少し教わりたかったですね。
白川修司(しらかわ・しゅうじ)
1961年、宮崎県生まれ。84年、少年サンデー増刊号で漫画家デビュー。85年より高井研一郎『総務部総務課山口六平太』にアシスタントとして参加。2018年よりさいとう・プロダクションに勤める。
【マンガ】「鬼平犯科帳」を読む