1ページ目から読む
3/5ページ目

 岸田政権においては、危機感が高まり続ける東アジアの安全保障の状況から、防衛費の増額(と財源探し)が本格化しており、先行する形で23年度予算と自衛隊サイバー部隊の増員が決定しています。しかしながら、実際に防衛省周辺だけでなくセキュリティクラスタ周辺の状況で言うならば、今回のようなハイレベルな防衛ネットワークへの侵入に対処するにあたり、技術的に乏しいカカシのような要員をいくら増員してもカラスは追い払うことはできません。ある程度、技術的にも熟達している民間の技術系企業との連携は必須ということになります。なぜなら、いまの防衛省の人員予算では、相応にトップクラスのセキュリティ技術者を雇うための一人3,000万円以上の人件費を支出することができないからです。

防衛費増額とその使途 令和5年度(2023年度)予算|NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/special/yosan2023/defense-expenses/

<独自>自衛隊サイバー部隊 年度内に人員2・5倍に
https://www.sankei.com/article/20230503-VPG3D45LAZOPRO2OA5PBSNVBM4/

ADVERTISEMENT

諸外国と異なり日本には存在しない“ある調査”

 また、日本の独自の問題として、諸外国と異なり霞ヶ関や永田町で働く人たちに対するセキュリティクリアランスがあまり存在していないことも、日本の重要な国家機密がたびたび漏洩する原因に挙げられます。単にセキュリティクリアランスというと何か凄そうですが、要するに出入りする人の背景関係調査であり、経歴や思想、ギャンブル歴、女性遍歴、入出金の履歴などを追いかける仕組みのことであって、アメリカではこれらを専門にやる公的部門で2,000人近い職員が働いています。

 日本では、なんか内閣改造が起きると総理や総裁選に出馬した有力者から覚えめでたい人物が閣僚や副大臣・政務官ポストを宛がわれるのが通例で、そういう人事案が出るたび官邸でその方面について詳しいとされる人(いまの岸田政権だと警察庁出身の官房副長官・栗生俊一さん)が中心となって「身体検査」をやりますが、今回の河野太郎さん側近の秋本真利さんが再生エネルギー関連利権にずっぽりで馬主組合にも出入りしているのを知りながらよりによって外務政務官に就けちゃったりするぐらい、ザルな場合があります。

 ボク言いましたよね。

 それもこれも、日本では政治家やその秘書、親族など、有力者周辺と、それらの人々が支配する法人に関して、監視を行うPEPsモニタリングという仕組みが機能していません。つまり、政治家本人は数千万円の資金をやり取りしたり、政治団体同士の寄付でカネを回しているけれど、実際にはその親族の会社で政治的な利権や忖度で政治家「一族」が秘書や法人(海外企業や海外に持っているファンドなど)を使って利益を得る仕組みがある場合、これを把握し取り締まる仕組みが日本には無いことになります。分からないものは、調べようがないのです。