国連人権理事会の専門家による記者会見が行われたことで、ジャニーズ喜多川氏の性加害問題についてテレビ番組での“脱タブー化”が進んだ。
誰より空気を読むのに長けているお笑い芸人たちも、テレビではこれまで口をつぐんできたが、一気に語りだした。先週末の土曜、日曜に放送された情報・バラエティー番組での取り扱いは興味深かった。
先週末に取り上げなかった番組
そもそも土曜、日曜に放送される週に一度の報道番組・情報番組の役割とは何だろうか? 簡単にいえば1週間の間に起きた主なトピックを振り返って、その出来事が意味するものを視聴者に改めて知らせる務めがある。
8月4日(金)に国連の専門家が記者会見でジャニーズ性加害問題について言及したという出来事は、重要なニュースだったはずだ。当日はNHKと民放キー局の主なニュース番組が報道した。ジャニーズ事務所という一企業だけでなく、長年この問題を見て見ぬふりをしてきたメディアなどエンターテインメントに関わる企業すべてに反省と行動を促す内容だったからだ。
だが会見直後の週末、この問題に触れなかった番組があった。8月6日、テレビ朝日「サンデーLIVE!!」である。メインキャスターをジャニーズ事務所に所属する東山紀之が務めている。今年5月、性加害問題について東山自身が生放送で謝罪していただけに、今回は不自然な避け方だったのではないか。
同日のフジテレビ「Mr.サンデー」も同様に取り上げなかった。宮根誠司が司会を務める報道番組で、組織をめぐる問題として日本大学アメフト部での薬物汚染問題を報じながら、ジャニーズ性加害問題は扱わない不自然さが印象に残った。
テレビでこれまでジャニーズ事務所の性加害問題を熱心に報道してきたTBSと日本テレビは、週末もすべての報道番組で国連の記者会見について伝えていた。
日本テレビ「真相報道 バンキシャ!」のように「性被害」を5月に告発した元「忍者」の志賀泰伸さん(54)をテレビで本格的に取材したものもあった。だが、今回注目したのは、週末に放送されているバラエティ的な要素が強い情報番組での大きな変化だ。