アジやタチウオ、イナダなど19種の魚の捌き方やレシピを主にイラストで紹介した本書が、釣り愛好家をはじめ魚好きの間で評判。著者は12歳のときに全日空の「マリンジャンボ」を描いたことで知られ、現在はデザイナーやアーティストとして活躍している。
「知人から釣り好きの大垣さんを紹介され、いつか魚料理の本を出したいね、と。コロナ禍で3密を避けられる釣りや自炊が流行し、料理本を出すなら今だと思い、2020年の春に依頼。結局、制作に時間がかかり、昨年刊行しました」(担当編集者の山根和明さん)
捌き方や調理手順を写真で紹介している類書が多いが、差別化を図るためイラストに。虹色に輝くアジなど、釣りたてを知っている著者だからこその表現だ。内臓を外す工程もグロテスクさがないと好評だという。180度開く装丁は、料理中も見やすい。
「いろいろな魚を釣って食べてきましたが、タチウオの内臓は食べたことがありませんでした。大垣さんは骨も内臓も余すところなく調理し、“もったいない”精神を体現していることに感服。本書を通じて、切り身しか買ったことのなかった人が丸ごと1匹調理できるようになったとか、子どもが料理をやりたがるという声も届いています。食生活に大きな変化が生まれるはずですし、人生の幸福度を上げることにつながればうれしいです」(山根さん)