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「開成・東大の同期は港区のタワマンに…」年収200万円、未経験から世界ランクを獲得した男性(39)が送ったテニス一筋の14年間

「開成・東大の同期は港区のタワマンに…」年収200万円、未経験から世界ランクを獲得した男性(39)が送ったテニス一筋の14年間

テニス選手・市川誠一郎さんインタビュー#3

2023/09/09

genre : ライフ, 社会

note

 そのアカデミーには2017年から2020年の頭までいて。そこのコーチとトレーナーに、ガッツリ基礎的なところから取り組んでもらって、今まで全然出来なかったのに、2〜3年目あたりのある時から急にボールがしっかり打てるようになったんですよ。

 あまり試合の結果には表れませんでしたが、スペインに行った時に感じた基礎技術の問題がクリアされてきたと感じました。これは大きなブレイクスルーでしたね。

もう日本に帰っちゃダメだ…世界ランカーに声をかけて練習

ーーそのアカデミーにいたのが2020年頭までとのことですが、なにかしらコロナ禍の影響が?

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市川 コロナで大変になってきて、東京で練習するのが難しくなるんじゃないかって予感がしたんです。で、県外のテニスクラブで練習をして、また違うアカデミーに入って。そうしたら、そのアカデミーに在籍しているジュニアの子がセルビアで開かれるジュニアの国際大会に出るので、帯同コーチとして一緒に来てくれと。

 ちょうど、もう一回ヨーロッパに行こうと考えてたので即「行きます!」って。それが2020年の9月ですね。セルビアってジョコビッチとか強豪を出してる国だし、ジュニアの国際大会にはいろんな国のコーチも集まるじゃないですか。大会の開催中、他の帯同コーチにコンタクトしまくったら、いい人と知り合えて。僕だけセルビアに残って、12月まで彼と練習してました。日本で基礎が固められてたこともあって、またまた技術がレベルアップしたのを感じて。

 

ーー改めて「やっぱり海外のほうがいい」と。

市川 日本の体育会系って、なんでも上から下にじゃないですか。ヨーロッパは、自分の思ったことをガンガン言えちゃうフラットな雰囲気で、それが自分にすごく合っていて。あと、変わったヤツでも面白がってくれて、とりあえず相手をしてくれる。海外に来たことで、日本にいた頃のストレスがなくなり、一気に世界が開けてテニスが良くなりました。だから、ヨーロッパというか海外にいるしかないなって。

 もう日本に帰っちゃダメだと悟って、そのままトルコの国際大会に出て。でも、その時点では試合自体が第一の目的ではなく、世界ランカーがいっぱい出るから、声をかけまくったら練習相手をしてくれる選手がいてレベルアップできるんじゃないかと考えたんです。

 その予想は的中して、声をかけてみると相手してくれる世界ランカーって結構いるんですよ。「選手をとっかえひっかえして、5時間も6時間も練習してるヤツがいる」と噂になって、逆に声をかけられたりして。

世界ランキングを獲得したペアのomni kumarと
 

去年、一時帰国した際に新しいスポンサーを獲得

ーーどのような方々と練習を。

市川 みんな各国では世代トップで、これまで絶対練習できなかったような強い選手ばかりです。当時下部ツアーを回っていましたが、今はウィンブルドンとか全仏オープンとか、グランドスラムの予選に出るようになった選手もいます。

 例えばいま世界ランク100番あたりにいるカルロス・タベルナや、300番ぐらいのビリー・ハリスやエバン・ズー。日本人だと、ウィンブルドンや全米の本選まであがった島袋将くんなども練習してくれたり。各国の選手はもちろん、日本人のプロ選手もたくさん練習してくれて、世界中の選手やコーチとの繋がりもできました。

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