テニスに関係する会社という会社すべてにテレアポ
ーーそれがうまくいったわけですよね。
市川 450万円、集まりました。50万も集まらないだろうと思ってたし、集まらなかったら借金しかないなとお金を借りる方法を考えていたぐらいだったんですよ。
でも、僕の異色な経歴だけでお金が集まったわけでもないんですよ。親友のバリバリのビジネスマンの方に、スポンサーを多く集めるための戦略を聞いたり、用意したプレゼン資料を添削してもらったり。ダメ出しが凄かったです(笑)。
南極冒険家の阿部雅龍という友達がいて、彼にも聞きに行きました。彼はホステルでバイトしてたときの仲間で、全くの無名から積み重ねて、何千万円もスポンサーを得て南極に行くほどになっていて。
テニス自体への努力は当然ですが、応援してくれる方々への細かな行動や地道に努力して足で稼ぐ方法を教えてもらいました。
ーーたとえばどんなことをしていたのでしょうか。
市川 テニスに関係する会社という会社すべてにテレアポして、ほとんど全ての友人に、自分が覚悟を決めて「こういう挑戦をするからどうしても助けが必要だ」ということを心の底から直接話して回りました。また、覚悟を示すために、成績のノルマが達成できなかった場合に返金する条件をつけました。
クラウドファンディングも考えていたけど、資金的な面でいうとクラファンは手数料で20%近く持っていかれちゃうんですよ。それと無名なアスリートのクラウドファンディングは自分の周辺からのサポートが多くなりがちで、それならば手数料を払ってプラットフォームを利用する必要はないと思い、直接自分でやりました。
身近なところから一つずつスポンサーの輪を広げるべきで、自分だけでなくスポンサーの人たちをハッピーにして、そこからひとつずつ輪を広げることを考えました。
数珠つなぎに人や会社を紹介してもらい、資金450万円が集まる
ーー友人以外の周辺というと?
市川 僕が住んでいる近所にある会社を回って、1万円、3万円を提供してもらいました。そこから、他の人や会社を紹介してもらって、またスポンサーが増えていって。そうやって集まった450万円で、2016年の4月にスペインのテニスアカデミーに行かせていただきました。
比較的小さな場所で、やりとりしていて家族的な雰囲気を感じたのが決め手でした。またスペイン人は白人の中では比較的小柄で、体格の小さなアジア人に合うかもしれないと思ったのと、そこで日本代表のダニエル太郎君が練習しているのを知って、アジア人の指導のノウハウを持っているだろうと考えました。
アカデミーに入って最初の3日は寮にいたけど、寮費が高いので出ないとヤバくて。ルームメイトがいないコロンビア人がいるのを聞いて。テニスアカデミーって金持ちのヤツが多いから、月500ユーロするような高い部屋にも住んでいるんですけど、彼の部屋は家賃160ユーロだから月2万円以下。彼に接触して、シェアしました。