1ページ目から読む
2/3ページ目

「60歳以降は一切払わなくてよい」

 父が結んでいた何かの共済契約が満期を迎えるときだった。数百万円という多額の積立金が支払われることを知った飯沼氏が、父にその金を原資にして、山口さんの終身共済の保障を充実させるよう転換を促す営業をしてきたのだ。具体的には、保障額を1000万円から2000万円に引き上げるというものだった。

JA共済の看板 ©時事通信

 当時、飯沼氏は父にこう説明している。

「いま転換すると、たしかに掛け金は上がる。ただ、娘さんが60歳以降は一切払わなくてよくなる」

ADVERTISEMENT

 山口さんは、飯沼氏から言われるがまま、転換の契約書にサインをした。

 だが、この説明は嘘だった――。

 山口さんがそれに気づいたのは、2022年に新型コロナウイルスに感染し、共済金が支払われるか確かめようとしたときだ。JA職員に別途、自分が加入していた終身共済についても質問すると、60歳以降も特約の掛け金だけは払わなければいけないことが分かった。

 驚いた山口さんは、あらためて契約書を確認すると、5つの特約が付けられており、年間で計約3万円の掛け金が発生していた。

 もちろん、この点について、飯沼氏からは一切説明を受けていない。さらに山口さんが相談を持ち掛けた別のJA職員も、事情を聞いて、飯沼氏に非があったことを認めているという。