Q 「プリゴジン氏」って何者ですか?
ロシアの民間軍事会社・ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏らが搭乗していたと自家用ジェット機が墜落したというニュース。落下する映像が不自然な動きだったことなどから、事故ではなく爆発物やミサイルが原因とする見方も出るなど、暗殺説も浮上していますが……。池上さん、プリゴジン氏とはどのような人物なのですか?(60代・女性・主婦)
A 「大統領の料理人」と呼ばれた人物です
そもそもワグネルを創設したのはロシアのGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)の中佐だったドミトリー・ウトキンという人物です。ワグネルとは作曲家ワーグナーのロシア語読み。ネオナチ思想の持ち主で、ヒトラーが愛したワーグナーが好きだったからだそうです。
このワグネルに出資して組織を育てあげたのが、エフゲニー・プリゴジンです。プリゴジンはプーチン大統領と同じレニングラード(現サンクトペテルブルク)の出身。過去には数々の犯罪で9年間の刑務所暮らしをしたことがありますが、ソ連崩壊後、高級レストランの経営で成功しました。
このレストランにプーチンらロシア政府の幹部が来るようになってプーチンと関係を深めました。その後、客を接待するための仕出しも担当して、プーチンの信頼を得ました。その結果、「大統領の料理人」と呼ばれるようになりました。
しかし、それにとどまらず、ロシアの秘密の軍事行動まで請け負い、いわばロシア軍が表立って動けない“汚れ仕事”を担当するようになったのです。