1ページ目から読む
2/4ページ目

 ただインタビューそのものは、表面的な内容に終始した。櫻井翔が事務所の記者会見について感想を述べるものの、有働アナからはインタビューの相手に人間的な意味で迫ろうという気迫や熱意は感じられず、むしろ「遠慮」している印象が強かった。

他人事で、解説者のようなコメント

 櫻井翔自身が「性加害」という問題についてどう考えるのか、質問を重ねることはなく、“模範回答”を述べさせているように筆者には見えた。櫻井もこの問題を自分ごととして言葉にするというよりは、どこか他人事の印象で、解説者のようなコメントをしていた。

有働アナ 長年タレントとして所属している東山さんが新社長になる。前社長である藤島ジュリー景子氏が代表取締役として残り、再発防止特別チームが提言した「解体的出直し」になっていないのでは?

 

櫻井 会見を見た中での受け止めとしては、登壇されたみなさんの言葉から、ジャニー元社長との精神的な決別というか今までの価値観を完全に否定して全く違う組織になっていくんだというような、それも重ねてですけども強い決意を感じました。

 

 加えてジュリー前社長が代表取締役に残るという点ですけれども、やはり何よりも今、向き合わなければならないのは被害者の方々への誠実な向き合いだと思っています。その中で今声を上げられている方々だけではなくて、これから声を上げる方々も出てくる可能性も含まれる中で、しっかりと誠実に真っ直ぐに向き合っていくという覚悟の表れなのかと僕自身は捉えています。

日本テレビ「news zero」9月7日より。生放送ではなく、収録したインタビューだった

櫻井の“心の揺れ”が垣間見えた

 櫻井の言葉からは、「解説している」という感じが抜けない。自分が関わっているのだという切迫感が感じられなかった。だが、櫻井の“心の揺れ”が一瞬、垣間見えたのは次の質問だった。

ADVERTISEMENT

有働アナ 櫻井さん自身は、性加害の実態というのは、あると知らなかったんですか?

 

櫻井 (長時間、考え込んだあとに)実態というところに関しては……把握しきれていないというのが正直なところ。ただ、お二方(東山紀之氏、井ノ原快彦氏)とも口にしていましたけれども、噂という点では耳にしたことはありました。

日本テレビ「news zero」9月7日より

 記者会見で東山新社長らが繰り返した「噂」という言葉。櫻井も踏襲したが、言葉を発する前の櫻井の目が泳いだような光景が印象的だった。

 一方この夜、生放送で「質問力」を発揮したのは「news zero」のライバル番組であるTBS「news23」の小川彩佳キャスターだった。