2012年に緊急入院した声優の後藤邑子さん。人気声優として抱えていた全ての番組を降板したあの日から2年が経ち、2014年の夏に『失われた未来を求めて』で声優活動を再開させた。
1本のアニメから少しずつ復帰していく後藤さん。そしてある日、一通のメールが……。著書『私は元気です 病める時も健やかなる時も腐る時もイキる時も泣いた時も病める時も。』より一部を抜粋して引用する。
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「シークレットゲスト」としての復帰
アニメ1本から、声優活動の再開。期間限定の上京。ぎこちなくではありますが、普通の生活が始まりました。
ほどなくして歌うイベントの打診が来ました。早くない?
生で歌うイベントは、身体のコンディションも心配事のひとつです。出演すると言っておいて、急きょ体調不良で欠席なんてことになったら大問題。これは早い。さすがにまだ早い。「うん、断ろう。さすがに断りましょう」と事務所で判断した時、
「シークレットゲストでなら、どうでしょう?」
と提案されました。シークレットゲストとは、出演者として発表されない出演のしかたです。「後藤さんが、当日、参加できそうなら参加。無理そうなら不参加でも大丈夫です」と。
たしかにその方法だと万が一、体調次第で参加できなくなっても大きな迷惑をかけないですみますし、何より、話題にならずにすみます。それなら、と、オファーを受けることにしました。
2014年11月、『ランティス祭り』は仙台で開催されました。
サプライズでステージ上に現れた私は、会場内のどよめきと声援を受けながら「恋のミクル伝説」を歌いました。
このシークレット出演は、誰も想像できなかったぶん、かなりのサプライズになったと聞きました。私にとっても、オファー自体がサプライズでした。