下剤を飲んでまでダイエットしたにもかかわらず、事務所の社長の一声で「アイドルになる夢」が潰えた中学時代の関あいかさん。夢を失ったものの、その後は自分を囲う呪縛からは解放され、平穏な生活を取り戻すはずだったが……。
暴力をふるうDV男と出会い、別れられなかった理由を、タレントの関あいかさん(26歳)の新刊『摂食障害モデル 165センチ、32キロだったわたしへ』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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普通の高校生
全てに対してやる気をなくしたまま、私は中学校を卒業した。事務所とは書類で正式な契約を結んでいたわけではなかったし、連絡を取らなくなって徐々に疎遠になっていった。
埼玉から東京の池袋にある通信制高校に通うことになった私は、すごくスッキリした気分だった。芸能のことも、自分の見た目のことも、全く気にしなくなった。これでようやく、色々な呪縛から解放されることができたのだ。心も身体も満足したのか、1年くらい続いた過食も落ち着いていた。
そんな解放感がそうさせたのか、私は高校に入ってからわずか数カ月で、なんと家出をすることになる。
実家から学校へは、電車に乗って通った。毎日同じ車両に乗って、同じ駅で降りる。自分が「普通の高校生」になれたみたいで、そんな些細なことでもなんだか嬉しかった。
ある日、改札を出るところで男の人に声をかけられた。
「お姉さん、ちょっといいですか?」
見覚えのある顔だった。毎朝、私が乗るのと同じ車両に乗っている人だ。たぶん、このあたりの大学生か何かだろう。
「僕、大学のサークルでイベント主催してて。もしよかったら、今度遊びに来ませんか?」