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イム・セミ「私も、ここは心の内を表すべきところなのか、ここは隠すべきなのかということを常に自問自答して演じました。これは、俳優イム・セミの気持ちではなく、ウィジョンという役の気持ちなのかということも自分なりに常に確認し、監督と本当にたくさん話し合いながら作り上げていった現場でした」

イム・セミ 1987年生まれ

『最悪の悪』はこれまでのノワールとは違う作品

 近年、数々の韓国ノワール作品が世に送り出されてきたが、韓国の俳優にとって、韓国ノワールとはどのような意味を持ち、またこの作品に出演するにあたって、参考にした韓国ノワールはあったのだろうか。

 

チ・チャンウク「この作品に出るにあたって、参考にした作品というのは、あえて挙げることはないと思います。すでに私たちにとって、ノワールというジャンルは本当に馴染みがあって、僕自身も『ゴッドファーザー』に始まって、たくさんの作品を見てきました。ただ、この『最悪の悪』は、『新しき世界』や『ハント』を作った制作会社のドラマですし、さらにこの作品で僕たちならではの韓国ノワールのトーンを作り上げてみたいという気持ちが強かったんですよ」

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ウィ・ハジュン「僕も、この『最悪の悪』は、これまでのノワールとは違うものだと感じていて、僕らのような若い世代の作る新たなものにしたいと思いました。最悪な状況に追い込まれる人々の物語ではあるけれど、さきほどチ・チャンウクさんが言われたように、監督とキャストで一丸となって、新しいノワールを作ろうという気持ちで取り組みました」

 

ウィジョンは時代背景にとらわれない部分もある

 彼らが語る「新しいノワール」は、女性の立ち位置や登場人物との絡みかたにも表れているようにも見える。麻薬保安官ユ・ウィジョンは、夫のジュンモよりもエリートであるというのも、これまでになかった設定ではないだろうか。

イム・セミ「まさに、そのことがジュンモを潜入捜査官の道へと導くきっかけになったんじゃないかと思います。ウィジョン役は、主体性を持っている女性として描かれていますが、時代背景にとらわれない部分もあるのではないかと思います。ドラマには、夫婦がお互いに何かを乗り越えていこうという姿であったり、ときに自分を責めてしまう姿であったり、ときに亀裂が生じたりする姿が描かれています。そんな中で、何かを守ろうとしている人物としてウィジョンを演じていました」