金井美恵子さん ©篠山紀信

「映画が生活や文化の中心にあったのは、実はほんの短い期間のことなんです。1930年代のハリウッド映画のような贅沢なものは、以降、誰も受け継がなかったし、作れなかった。子どもの頃に50年代の日本映画を享受した者として、膨大な情熱が費された映画の世界にささやかながら加わりたくて、この『『スタア誕生』』という小説を書いた面もあります」

 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した金井美恵子さん。作家生活50年を機に、3月27日発売の「早稲田文学」で大特集が組まれ、4月には神戸で「金井美恵子・金井久美子『トークと絵画と映像による本の世界』展」が開かれる。

「初めての2人展で、いかに一緒に楽しみながら本を作ってきたか、再確認しました。今回装幀に使った姉の絵は、映画熱に冒されて女優ばかり描いていた小学生時代のもの。ご飯を食べながらこんなイメージにしたい、と話したり、本を書くこと、作ることが日常に組み込まれているからこそ、長い時間をかけられるのでしょうね」

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 装幀の楽しさが伝わる展示も全面的に監修した。

「神戸は山と海と都市が繋がった魅力的な町。ぜひぜひ、遊びにいらしてください」

INFORMATION

「トークと絵画と映像による本の世界」展
TEL 078-326-2718
http://sutatankobe.jp/