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「場」をつくることと、表現者であること

――11月4日から北野一帯で開催されている新たなアートイベント「AiRK Research Project」では、キュレーションを担当なさっています。

森山 キュレーターという言葉は別に使わなくてもいいんですけど、一応立ち位置を伝えやすいから使ってます。基本、裏方的な立ち位置で動いていますが、「場をつくる」ということ自体もひとつの表現になり得るというか。つくられた「場」の上に立つことで動かされる身体があることがわかっているから、いまは神戸という街をそういった「場」として見立てて、この後にどのような表現が立ち上がってくるのか、そのための地均しのような段階と捉えています。

 そのためにやらなければならない瑣末なタスクもたくさんありますが(笑)。それとは別に、自分自身がいつかその場に立つとして、表現としての自分の身体(しんたい)とこれからどういうふうに向き合っていこうかなと。それこそイスラエルに滞在してから10年が経って、いろんなことを試して、けっこう無邪気に身体に向き合っていた時期もあれば、「きゅうかくうしお」のようにコンセプトに基づいた活動だったり。そういった経験を経て、うーん、どうしようかなという状況にはいるんだと思います。

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©榎本麻美/文藝春秋

――今回のイベントは、AiRKに滞在したアーティストが、そこで制作した作品を北野の安藤忠雄建築やギャラリーなどに展示するという、動きのある仕掛けが楽しいです。ご自身もパフォーマンスイベントに出演されたり、そういった企画の全体像からおひとりで考えられるんですか?

森山 アーティストと一緒にしゃべりながらですね。今年の2月にも、今回の招聘アーティストである久保田紗耶さんと、「ローズガーデン」(安藤忠雄建築)でパフォーマンスイベントをしました。中庭にスクリーンをつくっていろんな人がみられるようにして、パフォーマンスの合間にバンドの演奏があったり、飲食ブースも用意したり。

 今回のパフォーマンスは夜だから、お客さんが寒くないといいですよね。11月だからまだ大丈夫か。

撮影 榎本麻美/文藝春秋

INFORMATION

森山未來さんが運営メンバーとして活動するArtist in Residence KOBEによる神戸・北野のアートイベント「久保田沙耶 個展『北野光遊浴 KITANO Optical Wave Bathing』 」(11月4日~26日)の詳細は、こちらをご覧ください。https://www.instagram.com/airk.kobe/