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《埼玉本庄5歳児虐待死》シングルマザーを操り、内縁夫をけしかけ、自ら幼児の顔面に蹴り…虐待を煽る「魔女」石井陽子がこだわった「相撲」と「樽監禁」

《埼玉本庄5歳児虐待死》シングルマザーを操り、内縁夫をけしかけ、自ら幼児の顔面に蹴り…虐待を煽る「魔女」石井陽子がこだわった「相撲」と「樽監禁」

埼玉本庄5歳児虐待死公判#7

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会

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 石井も「選手交代」と言って、自ら歩夢くんの顔面を平手打ちする。

丹羽の自作した飼い猫用ケージの中に監禁したことも

「返事しなさいって毎日言ってるじゃん!」

 同じ日の夜、歩夢くんは、知香の手によって黒いプラスティック製の樽に閉じ込められた。やはり石井の指示だった。

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 「抱きかかえて、この中に入れて。回して蓋を締めるんだよ」

 真っ暗で狭い樽の中。「よく入れたじゃん」と言って、樽を横倒しにしたのが丹羽だった。樽を外側から知香や丹羽が叩く。歩夢くんが閉じ込められていた時間は、8分以上に及んだ。

石井陽子被告と丹羽洋樹被告

 石井は「子供が言うことを聞かなければ、叩いたり、怖がらせたりしてでも従わせるべきだ」とする粗暴な思考の持ち主だった。強いストレスにさらされた歩夢くんが、かたまって黙り込んでしまったり、返事の声が小さかったりすると、石井の一言をきっかけに、大人たちによる“躾”が始まるのだ。

 体の小さな歩夢くんは、石井と知香に両足を持たれ、逆さ吊りの状態で左右に振られたこともあった。2021年5月29日、同様の逆さ吊りの虐待を、よりパワーのある丹羽から受けた歩夢くんは、同じ日、大人たちが外出する間、丹羽の自作した飼い猫用ケージの中に、約2時間40分にわたって監禁された。

 丹羽が猫ケージの中に歩夢くんの体を押し込むと、石井は「それがいいね。そういうことだ」とご満悦だった。

石井陽子被告

同居が始まって以降、園も休みがちに

 石井単独の暴行があったことも公判で明らかになった。2021年3月4日。「拭き掃除ができなかった」と歩夢くんを叱責した石井は、こう言って当時4歳児の頭部を足蹴にした。

「なんでできないんだよ!」

 さらに石井は体勢を崩した歩夢くんの顔面に追撃の蹴りを加え、転倒させた。同じく3月の22日には、「大きな声で返事ができなかった」「お漏らしをした」などの理由で、歩夢くんの頭をハエ叩きで立て続けに叩いている。とても人扱いされているとは思えない仕打ちの数々だった。

 生まれた家でも、父親が知香に暴力を振るう場面を目の当たりにしてきた歩夢くん。知香に連れられ、逃げ出した先では、赤の他人と母親から自分に暴力の矛先が向けられたのだった。

 通っていた保育園の保育記録によると、現場の家で石井や丹羽らと同居が始まって以降、落ち着きや集中力がなく、他の園児に手を出すような行動が目立ち始めたという。かつては他の園児のお手本となるようなお利口さんだったが、先生が注意をしても理解ができていない様子で、園も休みがちになっていった。

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