藤井猛さんは振り飛車党なので当然飛車を振るが、居飛車党から見るとAIの評価値が下がってしまう。藤井さんが「うーん」と、思わず心配そうにしているのを見たときは笑ってしまった。
振り返りでいちばん重視するのは…
ABEMAではチームの交流動画も撮影したのだが、そのときはチームで“ポーカー”をプレーした。藤井さんは初めてということだったが、やはり強く、センスを感じさせられた。
初心者は、「配られたカードで手役を作る」ということに意識が向きがちなものだが、藤井さんは、「強い手役を作る」ということではなく「いかにチップを人より多く集めるか」というポーカーの目的―つまり、ポーカーという“ゲームの本質”をあっという間に理解していたのは、さすがだった。
物事の本質を見抜く力が、藤井さんの強さの根底にはある。
負けた対局においても藤井さんは、負けた理由―負けの本質を探そうとしている。負けた将棋で真っ先に見るのは、敗着となった手よりも、さらにその前だという。
《初めて形勢が動いたところ、優劣がついてしまったところがどこかというのは、振り返りでいちばん重視する点です。その形勢の均衡が崩れた局面は、どうして崩れたのか、その要因を考えます。それを言語化することで、他の局面に応用できるからです》(『考えて、考えて、考える』より)
藤井さんは、常にその本質だけを追い求めている。