検査をすると、私は生活習慣を改善していたので、3年間でホルモンの数値が正常に戻っていたんですが、主人のほうは、精液は出るけど精子はみつからないとなって、彼は顔面蒼白でした。私に協力するつもりで病院に来たのに、まさか原因が自分にあった。あの時の顔は忘れられないです。

 ちょうど診察をしていただいた先生が、精巣を切って精子を回収する「TESE(精巣内精子採取術)」ができる先生だったんです。先生が「スケジュールが空いてないから半年後にしか手術できないけど、とりあえず予約取っておこう。嫌だったら途中でキャンセルすればいいから」と手術の予約を取りました。

 

顕微授精で第1子を授かり、婚姻届提出

――男性としては手術は怖いですよね。パートナーは嫌がりませんでしたか?

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川村 主人は「えっ、手術しなきゃいけないの」とビックリしてました。そこから私は、彼の気持ちを手術日まで支えられるように、ポジティブな声かけを心がけていました。

 幸い、手術で精子が見つかり、今度は私が卵子を取る採卵の手術をして顕微授精で第1子を授かることができました。実はその頃はまだ籍を入れていなかったのですが、母子手帳をもらったあとに2人で婚姻届を出しました。

 

出産で脳動脈瘤が破裂するリスクも…

――出産もまた大変だったそうですね。

川村 出産するときにりきむことで、脳の動脈瘤が破裂するリスクがあるので、帝王切開で出産しました。しかもへその緒が異常な位置に付く臍帯卵膜付着で、予定より3週間早く出産となりました。

 本来だったら赤ちゃんが下がってきて子宮口が開いて出産なんですが、手術の時にはまだ赤ちゃんがお腹の上の方にいる。なので、お腹を開いた後、先生が馬乗りになって私のお腹を押して下に降ろすんです。もうそれが大変で大変で。先生が「赤ちゃんがいない、どこだどこだ」と言ってるのが局所麻酔なので聞こえるんです。

 体力は奪われるし、先生は私に馬乗りだし、お腹はぐるぐるするし、これは拷問でしかないという感じでしたが、お腹から出てくると我が子がオギャーと大きな声で泣いたんです。「元気な子だね」って看護師さんが言っているのを聞いて、今まであった色々なことを思い返し、涙が止まりませんでした。