「埋蔵金」という言葉を聞くと、80年代後半から90年代前半にテレビに夢中になった世代は、徳川埋蔵金、赤城山、糸井重里……といったフレーズが自然と脳裏に浮かび上がってくるだろう。糸井重里らが『ギミア・ぶれいく』(TBS)で赤城山に眠ると言われる埋蔵金の大規模な発掘企画を行った。「あるとしか言えない」と信じ、今回こそはと釘付けになって見る一方で、いや、もし発見していたら放送前にニュースになっているはずと、ある種の自己防衛でどこか冷静な自分もいた。そんな“ロマン”と“現実”の両方を教えてくれた企画だった。

TBS社屋 ©AFLO

 その一大プロジェクトを「あそこ掘ってもムダだよ」と一蹴していた男がいる。それが八重野充弘。糸井本人にも「素人騙しはやめなさい」というメールまで送ったという。その八重野に密着したのが、『クレイジージャーニー』だ。彼のモットーは「土を掘るより、資料を掘れ」。そのため実際に掘ったのは16箇所で、小判1枚も見つけたことがない。にもかかわらず、いや、だからこそ情熱が冷めることがない。

 そんな八重野が本命視するのが群馬県片品村。30年前にある老人から情報提供があった。幕末に牛8頭の背中に千両箱を2箱ずつ積んだ一行が山に引かれて行ったと。老人の案内でその場所に行くも掘っては崩れ危険。個人で発掘する限界を感じ断念した。それから十数年が経ち、老人の遺言という形で再び情報が。実は妙に羽振りの良いその老人は16箱の千両箱のうち1箱を持ち帰っており、その発掘作業の途中、仲間がひとり穴に落ちてしまったという。その弔いをし、残りの千両箱を世に出して役に立つようにしてくれと。もしそれが本当なら「あるとしか言えない」。しかし、金山の入口は見つかるも運悪く台風直撃などがあり中断せざるを得なかった。

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 そして約15年後、番組で改めてその現場に。八重野は険しい山道を何度も転倒しながらもなんとか到着。しかし、入口は土砂で潰れ、前回の発掘のために作った構造物が逆に邪魔してしまっている。今回は“下見”で終わってしまったが、設楽統が「埋蔵金企画、太い柱で走らせましょう!」と言うように、冬を越した5月以降、番組の力も借りて再開する模様だ。何よりアツいのは、『クレイジージャーニー』には険しい山道を苦にしないアドベンチャーレーサーや洞窟探検家の吉田勝次らスペシャリストがいること。彼らがアベンジャーズのようにチームを組むとしたら番組ファンとしてこれ以上のワクワク感はない。テレビは何かが起きたときよりも、起きそうなときが一番面白いとよく言われるが、まさにそんな状態。最後に松本人志は「絶対、糸井さんにバレないようにしないと」と笑った。

INFORMATION

『クレイジージャーニー』
TBS 月曜 22時~
https://www.tbs.co.jp/crazyjourney/