料理人のくまのクーさんは、最近ちょっと仕事に飽き気味。そんなとき出会ったのが、「フライパンダ」という蓋がパンダの顔の形をした奇妙なフライパン。蓋を取ってみると、中には「おさじ」と名乗る小さなパンダが。おさじが愉快な振り付けとセットで教えてくれた謎の呪文を唱えると、クーさんがフライパンダで作る料理は、パンダの顔をかたどったパンダ料理に早変わり。お客さんの評判も上々で、やる気を取り戻したクーさんだったが……。
線や塗りに手描きの味わいを色濃く残した温かみのある絵と、子供心をくすぐる展開で、「パンどろぼう」シリーズをはじめ、絵本業界でひっぱりだこの著者。今作も刊行直後からスマッシュヒットを記録し、その後も評判が評判を呼ぶ形で部数を伸ばし続けている。
「きっかけは、いろいろな作家さんによる赤ちゃん向けの短いお話を集めた絵本『1分えほん どれがすき?』の中で、著者にパンダのお話を描いていただいたことでした。その手応えを元に、準備期間を2年とって刊行したのが本書です。パンダも料理も児童書では定番の題材ではあるのですが、理屈にとらわれないユーモアと、細部までこだわった作り込みが読者に支持されています」(ポプラ社編集本部の長谷川舞さん)
子供はもちろん、働き疲れた大人にも響く内容になっている。来春、シリーズ第2弾が刊行予定。