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乗り換えとは反対側には年間2000トン近く作られ続けている「あの名産品」も…
北朝霞駅から乗り換えとは反対の北側に出ると、駅前広場にはニンジンをかたどったオブジェが置かれている。このニンジンは、かつて駅前にもニンジン畑が広がっていた、古き田園地帯だった北朝霞一帯の記憶をいまにとどめるものだ。いまでもニンジンは朝霞の特産物のひとつで、年間2000トン近くは生産されているという。住宅地を抜けた先にある畑で作っているのも、きっとニンジンなのだろう。
鉄道が通り、乗り換え駅になった。そして、その場所が東京都心からもそれほど離れていなかった。ベッドタウンとして生まれ変わるには絶好の地。武蔵野線は、その名の通りのどかな武蔵野の田園地帯を走る路線として誕生した。それがちょっとばかり便利だったものだから、あっというまに沿線を市街地、ベッドタウンにしてしまった。北朝霞駅は、そんな武蔵野線の本質のひとつが見事に現れている駅なのである。
写真=鼠入昌史
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