桜の時期が終わると、木々はあっという間に鮮やかな新緑の葉をまとい、季節は初夏、そして夏へと駆けてゆく。新年度がはじまったばかりと思ったら、もうすぐにゴールデンウィークが目前に迫り、それが終わればもう20℃越えも当たり前の、夏の入口である……。
などというのはちょっとまだ気が早い。桜の季節が過ぎてもまだ終わっていないものがある。そう……皐月賞である(競馬のお話です、念のため)。
まあ、この原稿を書いているときにはまだ桜花賞も終わっていないのでなんともいえないのだが、競馬を愛する人というのは、桜花賞が終わり、皐月賞も終わってようやくひと心地着く。といっても、1週おいて6週連続、ダービーを含むGⅠシーズンがまたはじまるのだからまったく落ち着くヒマはないのだが、それでも牡馬クラシック初戦の皐月賞はほんのちょっとした区切りであることは間違いないといっていい。
その皐月賞、舞台になるのは中山競馬場である。どこにあるかというと、千葉県は船橋市である。最寄り駅は武蔵野線の船橋法典駅。駅から競馬場までは“ナッキーモール”というダジャレ感たっぷりの地下道を通って直接結ばれている。最寄り駅といいながら15分ほどは歩かされるので案外に遠い。
そしてJRにおいてのもうひとつの最寄り駅が、総武線各駅停車が停まる西船橋駅だ。
競馬開催日には西船橋駅前から競馬場までのシャトルバスも運行され、船橋法典駅を目指す人たちも西船橋駅で武蔵野線に乗り換える。だから、西船橋駅は皐月賞や冬の大一番・有馬記念の当日などはたいそうな賑わいになる、というわけだ。
総武線“競馬の町のターミナル”「西船橋」には何がある?
今回は、その西船橋駅にやってきた。競馬開催日には何度となく訪れたことがあるが、まったくの平日にやってくるのは初めてのこと。競馬帰りに駅近くで酒を飲むことはあっても、しっかりとこの駅の周りを歩いたことはない。競馬の町のターミナル、西船橋駅とはいったいどんな駅なのだろうか。
西船橋駅には、JR総武線・武蔵野線のほかに、JR京葉線と東京メトロ東西線、東葉高速鉄道が乗り入れている。総武線は東京駅からやってくる快速電車は停まらず、御茶ノ水駅から中央・総武線に入る各駅停車(つまり黄色い電車だ)だけが停まる。
東西に走る総武線に対して、南北に交差しているのが武蔵野線。いちおうは西船橋駅が終点ということになっているが、西船橋駅を終着とする列車はほとんどなく、そのまま京葉線に乗り入れる。
そして地下鉄の東西線は、総武線と同じく中野駅から都心の真ん中を貫いて西船橋駅が正真正銘の終着駅。東葉高速鉄道直通で東葉勝田台行きの電車も多いが、日中などは半分以上が西船橋発着だ。だから、西船橋駅を“競馬場”以外の言葉を使って表すならば、東西線の終点の駅、というのがいちばんわかりやすいところだろうか。