安室奈美恵、NiziU、TWICEなど、人気アーティストに作詞、楽曲提供をしている音楽プロデューサー・作詞作曲家の岡嶋かな多さん。中学卒業後、すぐに音楽の仕事を始めた岡嶋さんは、さまざまな苦難や挫折を経験したという。いったい彼女は、どのようにして自らの夢を叶えたのだろうか?

 ここでは、岡嶋さんの著書『夢の叶え方はひとつじゃない 私は、中卒作詞作曲家』(PHP研究所)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の2回目/1回目から続く)

音楽プロデューサー・作詞作曲家の岡嶋かな多さん(写真=本人提供)

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日本からかかってきた1本の電話とその“驚きの内容”

 スウェーデンにいる私に、日本から1本の電話がかかってきました。クリスタル・ケイさんと安室奈美恵さんがコラボレーションする楽曲の制作が決まり、そのコンペに向けて歌詞を書いてほしいという依頼でした。

 尊敬する2人のアーティストが歌う曲。なんとしてでもやりたい。でも、ちょうど日本に一時帰国する直前のタイミングで、仕事が立て込み、時間がない。結局、1文字もまだ書けないまま、日本に向かう飛行機に乗り込みました。

 当時は、葛藤だらけの毎日で。うまくいかない物悲しさや、期待に応えられない自分への苛立ちが限界に差し掛かっていました。

「でも、もしかしたらこの葛藤も今までの悲しみもすべて、この歌詞を書くためなんじゃないか、きっと、そうに違いない」

 そう思い込み、飛行機が離陸するなりMacを広げ、日本に着くまでの10時間、飛行機の座席の小さなテーブルで、一心不乱に歌詞を書き続けました。この歌詞が誰かの背中を押すきっかけになりますように、とどこかで願いながら。

「岡嶋さんの歌詞で決まりました」

 着陸すると同時に、空港からネットに接続して、歌詞をすぐに納品しました。 

 数日後、

「岡嶋さんの歌詞で決まりました」

 そう告げられ、完成したのが、2015年にリリースされた『REVOLUTION』です。