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「We got wings, we can fly  (私たちには翼がある、私たちは飛べる) 

 どこへでも行けるよ

 空は駆け抜ける為にある」

 という冒頭のフレーズを始め、この歌詞には空を飛ぶイメージの言葉が出てきます。それはまさに飛行機の中で書いていたからなんです。採用の連絡が来たときの感覚は今でもよく覚えています。「ああ、思いが報われた……」とうれしさで体中が震えました。

『REVOLUTION』のライブパフォーマンスに涙が止まらなかった

 イントロが鳴った瞬間、1万人もの観客で埋まった会場から、地鳴りのような歓声が。

 この日、安室奈美恵さんのライブに、クリスタル・ケイさんがサプライズ登場。2人がステージで『REVOLUTION』を歌ったのです。

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 最高のパフォーマンスを披露するおふたり。それを受け、幸せそうに手を叩き、喜びを伝えるお客さん。その美しい光景に、涙が止まりませんでした。

 カラオケで歌っていた中学生の頃から、私は自分自身が歌うことで、誰かの背中を押したいと思い続けてきました。「自分が歌う」ことにこそ意味があると思っていたのです。

 でも、自分が歌わなくても、曲に込めるメッセージで誰かの背中を押すことができる。楽曲提供の仕事をしているうちに、徐々にそのことに気づき、自分が表に立って歌うことへのこだわりを手放すことができました。

 それがこの日、決定的になったんです。

現在は子育てをしながら楽曲制作に取り組んでいる(写真=本人提供)

作詞作曲家という裏方こそが、自分の使命だと感じる理由

 あの飛行機の中で書いた渾心の歌詞を、素晴らしいアーティストふたりが、今、目の前で歌っている。

 曲に込めた思いを、こんなにも美しく、最高に、最強に表現して、何万人、何百万人もの人に届けてくれるアーティストがいるなら、こんな幸せなことはない。心の底からそう思いました。

 何万人という人を毎日のように相手にしている、表に立つプロの人たちのすごさ。 

 その人たちが自分の作品を歌ってくれたときの、圧倒的な伝わり方。

 そこにあらためて感動を覚えました。

 それからは、完全に迷いは消え、作詞作曲家という裏方こそが、自分の使命だと感じながら、今日も私は曲作りをしています。