紅白のステージで「心は半泣きでしたよ」
〈そういえば私が紅白歌合戦に出場した1991年は“モーツァルト没後200年”ってことで、モーツァルトの衣裳とヅラで出たんですが、あん時の演出はツラカッタっすね、今だから言いますけど。当時の私の担当者が私の意向をキッチリNHKさんに伝えなかったのがいけないんですけどね。1コーラス終わったあたりからチビッコや動物の着ぐるみがうわぁぁぁぁって乱入してきて、風船バンバン振りまわしながら大ユニゾンしてました。「ってゆうかオレ、モーツァルトなんすけど、みなさんはどちらの……?」って感じで心は半泣きでしたよ〉(KAN公式サイト「金曜コラムNo.200 2009/03/13」より)
知らなかった! 私はこの紅白のKANさんの歌唱は、とてもエキサイティングで歌唱も最高だった記憶があるが、文章から、戸惑いを隠し歌う、モーツァルト・KANが見えるようで面白い。私はこの紅白のKANさんの歌唱は、とてもエキサイティングで「よく片脚が上がる人」という印象を持ち、歌唱も最高だった記憶があるのだ。はてさて、どんなシーンなのか、もう一度観たい。
今年の紅白歌合戦、「テレビが届けた名曲たち」企画でも、追悼コーナーでもいいので、少しでも彼の戸惑いモーツァルトが映ってほしい。
KAN公式サイトの文章は、この金曜コラムのほか、彼のめずらしい人生がまとめられたヒストリー、ディスコグラフィー、すべて口角が緩んでしまう面白さ。時間を忘れて読んでしまうので、こみいった仕事が入っているときは危険。時間がたっぷりあるとき、お菓子と飲み物とともに読み進めるのがおすすめだ。
ユーモアと才能
彼の突然の訃報が流れた11月12日以降、SNSには、多くのファンや交流のあったアーティストから、思い出のエピソードと追悼コメントが流れてきた。そこから見えるのは、やはりユーモアいっぱいのお人柄である。
リオのカーニバルふうの衣装、フットボール選手、天使の羽根、コアラの被り物など、さまざまな衣装を身に着けているKANさんの画像。それにまじり、「KANダジャレかるた」なるものも流れてきた。見てみると、笑顔でドライブをしている杉山清貴とKANさんのイラストの札の横に、「杉山清貴とオメガトライブ」のダジャレ「杉山清貴とオレがドライブ」が書かれ、悲しいのに面白くて、唸りながら笑ってしまった。