「ド派手な着物」がニューヨークで受け入れられたワケ
会場にいる大勢の観客が、みやびのショーにスマートフォンのカメラを向け、「Amazing!」と声をあげた。観客がみんなみやびの着物を、作品として見入っている。その様子に鳥肌が立ったと振り返る。
ショーの最後、涙が止まらない池田さんは花道に押し出され、スポットライトと拍手を浴びた。右へ、左へよろめきながら観客に頭を下げ、「サンキュー」と繰り返しながらランウェーを歩いた。
「品がない」「伝統を汚す」と批判を受け、「荒れた若者の象徴」とされた池田さんの着物。今彼女は、世界の舞台で「着物デザイナー」として喝采を浴びている。
最高潮のままショーが終了し、池田さんは海外メディアから質問攻めに遭っていた。その場にいた多くの関係者がコメントを求め、連絡先を交換しようと列を作った。
日本の着物の美しさが、ニューヨークで認められた――。池田さんはそう言うが、それだけだろうか。ショーのオープニングパフォーマンスを担当したShokoさんは言う。
「着物の美しさだけが評価されたわけじゃないと思います。彼女が今までどんなふうに自分の仕事に向かい合い、チームメイキングをして、このショーを作り上げたか。全てが表れていたからこそ、喝采を浴びたんだと思います」
これからの池田さんについて尋ねると、Shokoさんはこう答えた。
「The universe knows everything!」(神のみぞ知る!)
新成人にとっては「一生に一度の晴れの舞台」
今、池田さんの元には、アメリカ、ヨーロッパをはじめ、世界各国からオファーが届いている。ファッションショーの後、日本からも新聞社やテレビ局から立て続けに取材を受けた。
2023年2月に北九州市の新市長に就任した武内和久氏は、池田さんを市庁舎に招いてその功績を称えた。池田さんが語った「北九の若者に育てられた文化がアートとして評価された」という言葉を受けて、市長は以下のようにツイートしている。