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『若者たちの希望に応えるため、約20年にわたり手がけてきたド派手衣装が世界で喝采を浴びました。この成功は「北九州の若者たちとの合作です」と。批判を恐れず、重ねられて来た努力。世界で強いメッセージを発した北九州市発の文化』

「成人式のニュースを見ているといかにもヤンキー。悪いことをしている怖い人のように見えるかもしれません。でも彼らは10代の後半くらいから、本気で成人式に出ることを目標に、真面目に、一生懸命働いている子がほとんどです。大げさと思うかもしれませんが、成人式が一生に一度の晴れの舞台なんです。好きな衣装を着て喜んでほしいし、彼らの夢を叶えてあげたい。その思いだけです」

池田さんがかみしめるように言ったことを今でも忘れられない。そんな池田さんの姿勢に、同世代の筆者はすっかり心を奪われた。

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人生は最後まで、何があるのかわからない

みやび小倉本店では、取材中もひっきりなしに電話が鳴っていた。スタッフに声をかけられるたびに「折り返します」と伝えながら、池田さんは3時間半のインタビューに声が枯れるまで付き合ってくれた。

「これから、どうするんですか?」

最後に聞くと、池田さんは黒髪を後ろに撫でつけながら、考える。

「私、自分から海外に行きたいとか、有名になりたいとか考えたことがないんですよ。相手が私を見つけてくれて、そのお役に立てればと思ってやってきただけ。我ながら受け身なんです。でも、人生は何があるかわからないじゃないですか」

たとえ人生の折り返し地点に差し掛かり、諦めた夢を数える日々を過ごしていても、人生は最後まで、何があるのかわからない。

彼女の心はすでに、次の成人式に向かっている。これからも池田さんはただ、目の前の人のために全力を尽くすだけ。それが新成人でも、世界のファッションショーであろうとも。そんな彼女の肩を、今度は誰が叩くのだろうか。

The universe knows everything. 池田さんの未来は、神のみぞ知る。

宮﨑 まきこ(みやざき・まきこ)
フリーライター
立命館大学法学部卒業。2008年より13年間法律事務所勤務後、フリーライターとして独立。静岡県在住。