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 作品からも話をする様子からも、つねに言葉に対する強い執着が感じられる。言葉へのこだわりは、いつからなぜ生じたのか。

すべて試して、言葉でどこまでいけるか見てみたい

「言葉について強く意識するようになったことに明確なきっかけはなくて、それこそ物心ついたころから宿命のように、言葉については考えてきました。ときに苦しくて自分でもやめたいと思ったこともあったけれど、それはどうしてもやめられませんでした。

©鈴木七絵/文藝春秋

 そんな私にとって、言葉でつくられる小説とはなくてはならないものだし、私自身が小説の言葉を強く信じています。不思議でしょうがないんです、実体を持たない言葉が、人間も世界も変えてしまうことが。言葉を突き詰めていったらその先に何があるのか。できることすべてやって、考えられ得ることをすべて試して、言葉でどこまでいけるか見てみたいです。

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『東京都同情塔』は、言葉で何かを解決しようとしたり言葉で対話することをあきらめたくない、と思っている方のために書いた作品です。言葉で解決できないことは何によっても解決できないと私は考えています。言葉によって考え続けることをやめたくないという私自身の思いが、この小説を書く原動力になりましたし、同じ気持ちでいていただける方のもとに作品が届いてくれたら、何よりうれしいです」

直木賞を受賞した万城目学さん(左)、河﨑秋子さん(中央)と ©文藝春秋

メイク TOMOMI・小池康友(K.e.y.)

東京都同情塔

東京都同情塔

九段 理江

新潮社

2024年1月17日 発売