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YouTubeの格闘技系コンテンツは人気だが…日本ランク2位でも年収は20万円「キックボクシング業界」の厳しすぎる現実

source : 提携メディア

genre : エンタメ, スポーツ, 働き方

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通常の試合はチャンピオンを決める大会より規模が小さいため、観客は200~400人。チケットは数枚しか手売りできない。ファイトマネーと合わせても報酬は4万~5万円だ。

プロのキックボクサーは年に3~4回の試合数が一般的なので、得られる収益は年間で約20万円。ジムへ支払うお金が年間12万円、プロライセンス更新が年間5000円かかるため、手元には数万円しか残らない。

ランキングの6~8位が空位

なぜプロのキックボクサーはこれほど薄給なのか? その理由の一つに、団体数の多さが挙げられる。

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「キックボクシングの団体は小さいものを含めると20を超えます。僕は2021年に現役を引退してからレフェリーを務めているので、この業界に10年身を置いています。それでも把握できないほどの数です」(児嶋氏、以下同)

団体数が多いことによる弊害は3つある。

1つ目は、選手が分散してしまうことで、選手のレベルが上がりにくいことだ。

児嶋氏はINNOVATIONのSフェザー級2位だったが、当時は6位、7位、8位が空位だった。ランキングに入る条件は、INNOVATIONが規定する試合数をこなしていること。つまり、その基準を満たした選手が、当時は1~5位、9~10位の7人しかいなかった。

20を超える団体の中でもINNOVATIONは主要団体なのだが、それでも基準をクリアしている選手は少ない。団体数が多いことによって選手が分散しているからだ。

ランキングに入りたくても入れない選手がたくさんいる状況に比べると、競技のレベルはどうしても上がりにくい。

キックボクシングの団体数は20超

2つ目は、試合の面白みが薄れてしまうことだ。

キックボクシングの各団体が、毎週のようにあちこちで試合をおこなっているので、ファンが分散し、会場は閑散としてしまう。さらに、団体内で同階級の選手が少ないため、同じ相手と何度も対戦することもある。

そうなると選手もモチベーションを上げにくく、試合が面白くなくなってしまう。

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