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「予想外でした。休日の利用者は見込みの2~3倍くらい」75年ぶりの新規路面電車はなぜ成功したのか?【宇都宮ライトライン運営会社ロングインタビュー】

「予想外でした。休日の利用者は見込みの2~3倍くらい」75年ぶりの新規路面電車はなぜ成功したのか?【宇都宮ライトライン運営会社ロングインタビュー】

宇都宮ライトレールの担当者に聞く

2024/02/04
note

宮崎 いままでに4000枚以上を販売しました。

杉山 すごい。ほとんど他の地域からいらしたかたでしょう。面白いですよね。東側って観光スポットがほとんどありません。つまり、基本的には終点まで行って戻って、ライトライン自体が観光地の乗りものになっています。

1日乗車券は首から下げる。すべてのドアから乗降可能
宇都宮餃子会と連携し、東武宇都宮駅付近の餃子専門店「来らっせ 本店」でソフトドリンクが無料。2月1日から情報サイトと提携し特典対象店舗が21に拡大する
餃子券付き1日乗車券も話題になった。2月1日から餃子券利用店舗が8に増える。

宮崎 停留場付近の飲食店さんはかなり助かっていると伺っています。

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杉山 終点にオープンスクエアみたいなお土産屋さんを置いたら儲かりそう。

交通未来都市うつのみやオープンスクエアにあるライトラインのジオラマ

宮崎 それは道路区域だったりして、いろいろ難しいんですよね。

杉山 道路といえば渋滞もかなり解消されたそうですね。僕は運転していてもっともストレスが溜まるのは、渋滞していて、クルマがちっとも動かなくて、赤信号に向かってアクセルを踏むようなときです。ラッシュ時に拝見したところ、そんな道路はないように見えました。

宮崎 自動車の交通量は10パーセントくらい減ったようです。地元のドライバーは、もともと混雑する大通りには入ってこないんです。夕刻は混雑しているんですけれども。地元民の感覚だと、西側と東側を行き来する人は大通りを使ってないです。

杉山 なるほど、大通りはバスと来訪者なんですね。むしろ大通りの混雑を避けて裏道に来てしまうクルマが減って、安全になったかもしれません。

「路面電車があると、都市の格が上がった気がします」

杉山 ライトラインが開業してもうすぐ半年になりますね。鉄道ファンは構想段階から注目していました。実際に乗ってみたら「路面電車」という古めかしい雰囲気はなくて、未来の乗りものという感じでした。市民の皆さんもそうでしょうけれど、来訪者からみても吸引力ができたなあと思います。

宮崎 私は会社発足まで市役所の公務員の立場で、いまは運営会社の立場で、この事業を見守ってきて本当にいい経験だったと思います。何よりもまず、本当に市民の皆さんの喜んでいるお声をいただくところが嬉しいです。これからも発展させていきたいです。

杉山 市民の皆さんも「宇都宮は路面電車のある町に仲間入りできた」と誇らしいでしょうね。路面電車があると、都市の格が上がった気がします。

宮崎 1月26、27日に「路面電車サミット」が宇都宮で初開催されました。開業した年度に開催していただけて注目度も上がり、他の市町村のかたにも取り組みをご紹介できました。佐藤市長も折に触れて申し上げておりますが、ライトレールのノウハウをできるだけ皆さんで共有していただきたい。地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の趣旨にのっとって、そして地方都市の公共交通を考えるきっかけになったらいいなと思います。

杉山 僕は客観的に見て宇都宮の価値が本当に上がったと思いました。ここまで来たら「はやぶさ」も停まるんじゃないかと(笑)。西側延伸に期待します。

未来的と言えば運転台。1編成に付き33台のカメラを装備し、運転士が7面のモニターで車内と車外、車両の状態を随時確認できる
「予想外でした。休日の利用者は見込みの2~3倍くらい」75年ぶりの新規路面電車はなぜ成功したのか?【宇都宮ライトライン運営会社ロングインタビュー】

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