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人口が減る宇都宮の中でも、ライトライン沿線は増加傾向

杉山 あれはLRTに期待した僕もハラハラしました。

宮崎 これまでの宇都宮市長選挙って、トップの圧勝だったんです。結果を見たら、こんなに反対票が多いのかと。しかし、結果的には市民の皆さんがLRT計画を知ってくださったので、周知されたというか、理解して貰えたと思います。

杉山 今回は朝の風景も取材しようとホテルを探したんですけど、あるホテルの公式サイトに「宇都宮駅と工業団地の無料送迎バスは終了しました。ライトレールをご利用ください」ってありました。ライトラインのおかげでコストダウンに成功しているんですね。このような形で、工業団地以外にも経済効果がありそうです。停留場周辺の商店もお客さんが増えているのかな、とか。

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宮崎 平日の方は通勤のお客様が中心で、ほとんど想定通りの数で乗っていただいています。朝は工業団地へ行く人で満員ですが、逆方向も西側の学校に通うために、宇都宮駅へ向かう生徒さんがいます。ランドセルを背負った小学生も。

杉山 休日に乗ったときもお客さんが多かったです。

宮崎 予想外のことでした。見込みの2~3倍くらいあるんです。開業当初は物見遊山的に「1回ぐらい乗ってみるか」というお客様がいらっしゃいました。今も乗客数は変わりません。土日はイベント事などに出掛けるお客様が多いようです。いま(1月半ば)は新年会シーズンで、平日の夜のご利用も多いです。昨年末の忘年会シーズンもそうでした。

杉山 わかります。夕方に富山ライトレールに乗ったら、富山駅へ行く客でいっぱいで、飲み会など遊びに行く方なんですね。クルマで行かないから、帰りに代行(運転)を頼まなくていい。電車で飲みに行けると。

杉山 宇都宮市は全体的に人口減少傾向ですが、統計データを見ると、ライトラインが通る東部地域(平石・清原・瑞穂野)は増加ですね。ニュータウンの「ゆいの杜」もありますし。

ゆいの杜(宇都宮テクノポリスセンター地区)に生活関連のロードサイド店舗が並ぶ

宮崎 あの地区も計画人口の8割から9割くらいに達しています。

杉山 まさにライトライン効果ですね。そういえば、駅東公園停留場の北にプロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」の新アリーナを建設するというニュースもありました。マンションや高層ビルがどんどん建設されているとか。不動産にも大きな影響が出たと思います。

宮崎 かなりありますね。マンションもLRTが開業する前からガンガン建ち始めましたし、企業さんの投資も大きく、地価もかなり上がってます。

「今年中に西側延伸計画を出します」

杉山 ライトラインの宇都宮駅西側延伸にも期待が大きくなったと思います。西側の再開発もライトライン延伸を前提にされているようですね。

宮崎 そうですね。まだ基本設計の段階ではあるので、どういう線形にするか、停留場をどこに置くかなども検討段階ではあるんですけれども、2024年中には計画を出す予定です。

杉山 こちらは通勤より大谷石採掘場の観光利用も期待できそうです。

宮崎 そうですね。ただ、最初の話に戻ってしまいますが、バス路線と系統がかなり多いので。

杉山 交通整理の意味合いが大きくなっていく。そうなると、バス会社さんの反発もありそうだと思いました。東側もバス路線がありましたよね。どのように調整したのでしょうか。

宮崎 東側は重複するバス路線が西側ほど多くはなかったんです。東側を先に、という理由のもうひとつは、工業団地以外の公共交通の空白地帯が多いんです。そこで関東自動車さんにもライトレールに出資していただいて、スムーズに進みました。

杉山 西側の路線重複というのは、関東自動車さんも解決したいのかな、と思います。熊本市は大胆な路線整理を実施して、中心部の重複を解消しつつ、バスと運転士さんを郊外便の増発に振り向けています。関東自動車さんもリソース的には良くないだろうという認識はありそうですね。そうなると西側区間整備の期待も高まりそうです。