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 内面ではなくついルックスや経歴で選んでしまった結果、相手の男性が“一夫多妻系”なことが判明したり(白濱亜嵐)、性格は良いのに髪型が「ハートパイ」に似ていたり鼻毛が出ていることが気になってしまったり(竹財輝之助)、メキシコ料理シェフで何かと熱いラテン系男性かとおもったら詐欺師だったり(大貫勇輔)、御曹司でモジャモジャ頭の「ラーメンの小池さん」に好感を抱いたら極度のマザコン(野村周平)だったり……。

近年ではあまり見ないレベルの直球「外見いじり」 公式サイトより

 ダメだとわかっていても、条件反射で外見が好みの人にときめいたり、理性や計算が頭から飛んで同じ失敗を繰り返したりする場面も「恋愛あるある」としてリアリティが絶妙だ。

福田がだんだんかわいく見えてくる仕掛け

 ただ小説が発売された2014年からの10年間でも社会の空気は大きく変わっていることもあり、相手の身体的特徴を「ハートパイ」「小池さん」と揶揄するようなあだ名をつけることに違和感を覚える場面は確かにある。女性同士のおしゃべりで盛り上がるネタとしては定番でも、「主人公の性格が悪すぎ」と不快感を示す反応があることは理解できる。

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「小池さん」も完全な外見ネタ 公式サイトより

 しかし、それをギリギリのバランスで笑いとして成立させているのは、登場するクセ強男性たちがデフォルメされていつつも、基本的に「愛すべき人々」として描かれているからだろう。実際に演じている俳優たちはイケメン揃いなので、罪悪感を感じずに笑いやすくなっている。

 また、主人公の福田が「自分を棚に上げている」という自覚を持ち、相手の良いところを理解しつつ見た目やクセばかりを気にする自分を反省しているという設定も添えられている。それなのに、どうしても外見で人を判断してしまう、という正直さが共感を呼んでいるのだ。

  福田の口の悪さ、浅はかさ、愚かさといった部分が、確かに欠点ではあるものの親近感を持つラインに抑えられていて、それがだんだん可愛く見えてくる……という仕掛けはうまくいっていると思う。