主人公の同業者で容姿端麗の売れっ子作家(関水渚)が婚活に苦労していたり、友人役の中越典子や橋本マナミと福田の関係性も、アドバイスしつつもお互いの主張を押しつけないスタンスが心地よい。
バディの八木との掛け合いもスムーズで、福田の芸人としてのツッコミのスピードや会話の間の取り方、全力で笑われようとするサービス精神も十分に発揮されている。
一歩間違えば不快感を与えてもおかしくない繊細な設定を、かなりのバランスで成立させているキーパーソンが福田のように筆者には見えるのだ。
福田に対する批判的な声を見ていくと、その理由の1つには、福田があまりにも絶妙にちょうど良い等身大女性を見事に演じてしまったことによって、ドラマとして距離を置いて観るよりもなかばリアリティショーのような、自身を投影して見てしまうような効果があるのかもしれないと感じた。
「どうしても岡田将生がチラつく」というあまりに理不尽な声も
というのも、「容姿も性格も良くないのに毎回婚活相手に気に入られるのが不思議」、「福田が幸せになるのがムカつく」といった声が目立つのだ。
さらに決定的なのは「どうしても岡田将生がチラつく」「こんなに普通でもプライベートではなぜか岡田将生と仲良くなれる不思議」という八つ当たりのような反応が決して少なくないことだ。
2人が「ハシゴ酒デート」を週刊誌でスクープされたのは、2022年12月のこと。後に福田はバラエティ番組で「飲みに行っただけ」と否定したが、絶世の美形・岡田とTHE普通女子・福田のデート報道の衝撃を今も引きずり続ける女性は多い。
そしてこの件が後を引くのは、「絶対ない」とは否定できないリアリティを感じるためだろう。それがドラマでは、「波瑠や深キョンのように明らかに別世界の人ではないので、嫉妬に近い感情をかき立てる」という方向で機能してしまっているのだ。
波瑠や深キョンのような女性が恋愛に悩んだり婚活で苦しむ姿は、異次元の存在が俗世に降りてきたようで親しみがわくのかもしれない。