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 また、西岸では国際法違反の入植地施設が進行し、イスラエル軍と入植者による暴力が日常化しています。西岸では、2023年の上半期だけで、入植者によるパレスチナ人に対する暴力が600件以上ありました。月平均100件以上あるということです。イギリスのガーディアン紙の10月20日付の記事によれば、2023年1月1日から9月19日まで、西岸では189人のパレスチナ人が、入植者と軍によって殺されています。さらに、10月7日以降だけでも64人が殺され、77のヘルスケア施設が襲撃されています。(10月23日時点)

 ベツェレムというイスラエルの人権団体は、ユダヤ人入植者による暴力を「国家がスポンサーになっている暴力(State Sponsored Violence)」と呼び、ウェブサイトに、入植者の暴力行為を撮影した動画などをアップしています。パレスチナ人の住宅に集団で石を投げて攻撃したり、パレスチナ人の車が停まっていたら窓を叩き割ったり、パレスチナ人の農家の畑に火をつけたり、あるいは家に放火したりなど、やりたい放題の暴力を、軍に護られながらやっているのです。それに対してパレスチナ人が少しでも抗議しようものなら、その場で逮捕されて、無期限に拘留されてしまう。

「入植者による暴力 = 国家による暴力」と書いた記事 「ベツェレム」Webサイトより

 イスラエルのイタマル・ベン=グビルという、ネタニヤフ政権が連立している極右政党の党首で、現在、治安大臣を務めている人物は、今の状況下で、西岸の入植者にさらに1万丁のライフルを提供すると言っています。

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 2003年の米軍その他によるイラク侵攻の時、世界の耳目がイラクに集中しました。それをいいことに、占領下のパレスチナでは、イスラエル軍によるパレスチナ人の殺害が非常に増加しました。それと同じことが今、西岸で起きています。世界の目がガザに向いているのを利用して、西岸でも、武装した入植者とイスラエル軍による、パレスチナ人に対する襲撃が現在、エスカレートしています。

 つまり、問題の背景には、西岸とガザに限っても、60年近いイスラエルによる占領がある。パレスチナ人に対する法外な占領の暴力がある。そのことが主流メディアの報道を通して巷間流布する言説においては、ほとんどまったく捨象されてしまっています。10月7日とそれ以降の出来事のすべてが、「ハマスによるテロ」というものに還元されて、出来事の根源にある問題を問わない構図が出来上がっています。