文春オンライン

好待遇でも相談なく消えていく…異例の出世をした若手社員が「退職代行サービス」で次々と辞めたワケ

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方

note

そんな状態にもかかわらず、「若手人材に悩みがある」なんて言っちゃいけないでしょう(他の会社の人に怒られますよ)。と思ったが、詳細を聞くと、課題は確かに深刻だった。

女性開発者の活躍の場を広げようとしたが…

具体的には、こんなことがあったらしい。

全社的に男性社員の比率が高く、特に開発部門では女性が圧倒的に少ないことから、今後は女性の研究開発者にも活躍してもらうべく、女性の採用数を増やしつつ、時間をかけて彼女たちのキャリアパスに関する検討を重ねてきた。また、その検討結果は、当事者たちにもすぐにフィードバックするようにしていた。開発部としての方針を要約すると、次の通りだ。

ADVERTISEMENT

昨今のイノベーション環境に鑑みると、研究開発者といえども、ずっと実験室にこもっているわけにはいかない。より顧客に近いところで知見と経験を積む必要がある。そのことが、新たな研究開発のヒントになるし、そのヒントから生まれたアイデアを、いち早く顧客に示す機会を持つことは、開発者としても極めて重要なことだ。

そこで、女性の研究開発者たちには、営業や企画部門の人たちとタッグを組む形でプロジェクトに入ってもらい、頻繁に顧客のもとへと訪問できるようにした。

むろん、この方針は国内だけに留まらない。この会社の売上の50%以上は海外だ。国際的な競争力を高めていくことこそ、開発部門の使命と言っても過言ではない。人材の多様化は当然の時代だ。彼女たちにも、ぜひダイバーシティ・マネジメントとリーダーシップを身につけてもらいたい。

4人中2人が突然の退職

一見して、素晴らしい方策だと思った。ぜひ次年度は僕の教え子も雇っていただき、どんどん鍛えてもらおう。そのための推薦書なら、いくらでも書く。そしてその教え子が一事業を成功させた暁には、お祝いのスイーツ・パーティを開いてもらおう。そんなことを本気で考えていたら、話はそこで終わりではなかった。

実際にそのプログラムを始動させるにあたり、まずは4名の女性社員から取り組み始めた。具体的には、彼女たちを開発部に仮所属させた上で、6~12カ月単位で企画部や営業部を経験してもらい、再び開発部に戻しつつ、横断的なプロジェクト化を進める、という流れだ。