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挑戦的なプロジェクトに参加する人はごく少数

当プロジェクトの検討チームの皆さんは、辞めていった彼女たちの気質や性格をどのくらい把握できていたのだろうか。

立ち上げられたプログラムは、(この会社にとっては)今までにない挑戦的なものだ。開発部長の意識も高い。僕の研究室に所属する女子学生も、やはり意識の高い学生が多く、きっとマッチすると思った。でも、当の4人(特に辞めてしまった2人)はどうだったんだろうか。

イノベーション人材を研究している身として、つまりは企業の人材育成を客観的に見てきた立場だから、これははっきりとわかる。今、企業内で立ち上げられる多くの新規プログラムやプロジェクトは、意識の高い人たちが作っている総じて日本企業は閉塞(へいそく)的だ。そんな中で、新しいプログラムを立ち上げるには膨大なエネルギーがいる。そんな芸当ができるのは、一部の意識高い社員やマネジャーだけだ。

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そして彼らは、全社員に向けてそのプログラムを発する。いずれも魅力的で、挑戦的で、聞くだけでワクワクするようなプログラムばかりだ。しかも細部までよく練られていて、途中で破綻(はたん)することがないよう、多段階のセーフティネットまで設けられている。

でも僕の観測では、そのプログラムに応募するのは、(大手既存企業の場合)全社員の10~20%程度だ。どんなに多くても25%程度まで。しかも、だいたい毎回同じ顔ぶれになる。それ以上の応募者がいる場合、そのプログラムがそこまで挑戦的でないか、あるいは本書を手にする必要のない、ごく一部の先鋭的な企業やベンチャーのどちらかだ。

なぜ「退職代行サービス」を使うのか

本稿を読んでいる皆さんは、すでに退職代行サービスが提供するサービス内容についてよくご存じかもしれないが、簡単に確認しておこう。

退職代行サービスとは、従業員が(解雇ではなく)自らの意思で退職する際に、そのための通知や書類作成などの一連の手続きを代わりにしてくれるサービスのことだ。本来、自分でやればいい手続きを、わざわざお金を払ってまでやってもらう目的は、大きく分けて2つある。