事務所はデビューメンバーの選定に頭を悩ませていた
カズハはバレエ留学中の2021年に、LE SSERAFIMメンバー選出のためのオーディションをオランダからオンラインで受けて合格した。当時、事務所は完璧なグループを作るためにデビューメンバーの選定に熟慮を重ねていたが、「これだ!」という新メンバーが見つからず、頭を悩ませていたところだった。
この時点でデビューが内定していたメンバーは、キム・チェウォン、サクラ、ホ・ユンジン。IZ*ONEを生んだ大規模なオーディション番組「PRODUCE 48」に出演していた3名だ。すでに人気と知名度を獲得している彼女たちに見劣りしないオーラと、新人グループとしてのフレッシュさを併せ持つような人物が求められていた。
事務所はLE SSERAFIMのイメージを「強気で堂々としたカラーを持つ女の子」と決めた。幼くてかわいい、ファンが成長を見守るようなガールズグループではなく、成熟していて神秘的な、それでより一層大衆の好奇心を刺激する――そんな、「最初から完成型」のグループを作ろうとしていた。
そんな中で見逃せない逸材として現れたのがカズハだった。画面越しのオンラインオーディションだけで「合格」を掴み取った。
“素人同然”のカズハを事務所が手厚くサポート
しかし彼女は、新型コロナウイルスの影響で、デビュー前に行われた韓国での練習に参加できなかった。そこで、事務所はリモートでカズハに韓国語のレッスンを受けさせた。オランダに滞在中の彼女のもとにトレーナーを送り、ボーカルとダンスを指導した。
いくら高い身体能力やバレエの技術を持っていようとも、K-POPの専門的なトレーニングを受けたことがないというのは、業界においては“素人同然”で、そんな1人のアイドル志望者に、事務所がこれほど手厚いサポートをしたのはかなり珍しいことだ。
カズハがデビューまでに練習できた期間は、わずか半年余り。K-POPアイドルとしてデビューするためには「練習生」として事務所に所属し、少なくとも1年以上、レッスンを重ねるのが通常だ。
5、6年以上練習生を続けても、デビューメンバーに選ばれずに事務所を辞めてしまう人が数え切れないほどいることを考えると、彼女のデビューは最初から破格だったと言えよう。