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 その中で『オホーツクに消ゆ ~北海道連鎖殺人~』は、複雑に絡む人間関係と重厚な背景設定によって「大人の観賞に堪えられるサスペンス作品」としてヒットした。松本清張作品や森村誠一作品に通じる味わいといっても過言ではない。

 そのゲームが40年ぶりに、ファミコン版からは37年ぶりにリメイクされ、この夏にNintendo Switch版とSteam(Windows)版として発売される。タイトルは『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』だ。ゲーム本編のリメイクとして、キャラクターに動きが与えられ、声優も参加してしゃべる。さらに、37年後の2024年を舞台とした続編も収録されるという。

あの名作ゲームが続編付きで帰ってくる!!(『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』より ©G-MODE Corporation/©ARMOR PROJECT ©KADOKAWA)

 このニュースに往年のファンたちは驚き、SNSでは喜びの声が多数上がった。Xのトレンドには「犯人はヤス」がランクインした。「そっちかよ」と思ったけれども、これは原作者の堀井雄二氏が自らXでリメイク版の発売を告知し「犯人はヤスではないですよ」というネタを交えて投稿したからだ。

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網走のボランティアが堀井氏たちに辿り着くまで

『オホーツクに消ゆ ~北海道連鎖殺人~』を遊んだきっかけで北海道を旅したプレイヤーも多い。土産店でニポポを買い、自分で涙を彫った人もいる。今で言う「聖地訪問」で、私もそのひとりだった。

 なかには訪問だけでは済まない人もいて、旅がきっかけでオホーツク海沿岸を気に入り網走市に移住した人もいる。網走市観光ボランティア「MOTレール倶楽部」の石黒明氏もそのひとりだ。本業は農家、農業写真家でもあり、フォトグラファーマーと名乗る。

 2020年3月、石黒氏は北海道新聞のコラム「朝の食卓」で、「『オホーツクに消ゆ』とコラボレーションして、ひがし北海道の魅力を発信できないか?」と書いた。ゲームに釧路、網走、阿寒湖、摩周湖、知床や紋別が登場する。ゲームとコラボして周遊ルートを提案したい。しかし、実現にはゲームの権利者の同意が必要だ。「どなたか力を貸してほしい」と結んだ。